プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  二十四節気の一つ、白露
  白鵬じゃありませんよ。

    姿見に一樹映りて白露かな   古賀 まり子

  露が凝って白くなるという意味。
  美しい日本語です。
  今日紹介する
  島本理生さんの『夏の裁断』も
  いいタイトルです。
  しかも今回の芥川賞候補作
  ということで
  かなり期待して読んだのですが
  どうもピンときませんでした。
  だから、つい
  書評もきつめになってしまいました。
  すみません、
  島本理生さん。
  島本理生さんはまだまだお若いから
  きっと
  ずっといい作品を書かれると
  思います。
  芥川賞なんて。
  直木賞ねらいでどうですか。

  じゃあ、読もう。



sai.wingpen  冷静になろう!                   

 ほとんど10年ぶりに芥川賞の候補になった作品だが、選考委員の評価は高くなかった。
 唯一村上龍委員が推していたが、「芽吹いた退廃が、妖しい花弁に育つのを期待している」という程のことがある作品かと首を傾げたくなる。
 若い女性作家と編集者の交友を描いた作品、もちろんそんな表面的な作品ではないが、そこの深部に至ると極めて一人よがりになってしまうのは、どうしてだろう。
 こういう若い作家は純文学などといったきどりではなく、もっと読者を意識した小説を書くようにした方がいいのではないだろうか。

 まず、主人公の周辺の人たち、特に男たちの造型がよくない。
 主人公の心を狂わせる柴田という編集者、編集者にはああいう人たちもいるのかもしれないが、読者というごく日常的に生活をしている人たちからすると、その柴田は意味不明の男にしか見えない。
 担当の作家、ここでは主人公萱野千紘を、もちあげたと思うと、突然ぞんざいな口ぶりに変転する。そんな男をあえて作者は造詣したのだろうが、そういう男を作る必要がわからない。
 もっとも存在感があるとすれば、スナックを経営している千紘の母親だろうか。
 千紘に夏の間祖父の蔵書の裁断を頼むのもこの母親で、この設定だけはなかなかのものがあったが、その設定を生かし切れていないのがもったいない。

 この作品が芥川賞の候補になったのがどういう経緯か知らないが、前作『Red』が第21回島清恋愛文学賞を受賞した勢いで芥川賞を狙ったのかもしれないが、おそらくこの作者の資質は芥川賞ではなく直木賞だと思う。だとすれば、編集者が作者に書かせるべきはそういう作品ではないだろうか。
 きちんとした装幀、出来栄えのいいタイトル、なのにその作品はあまりにも未熟。純文学の書き手には読者が見えていないのだろうか。
 山田詠美選考委員がこの作品の選評で「冷静になろう!」という意味がよくわかる。特に「!」までついたこの選評を、作者もこの作品を共にしただろう編集者も深く受け止めてもらいたい。
  
(2015/09/08 投稿)

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