プレゼント 書評こぼれ話

  東日本大震災から、4年6ヶ月。

  これまでに
  このブログでは東日本大震災関連の多くの本を
  紹介してきました。
  ノンフィクションであったり
  エッセイであったり
  論考であったり
  小説であったり
  絵本であったりしました。
  実に様々なジャンルで東日本大震災
  描かれてきました。
  そして、今回は漫画です。
  すでに大きな話題となりましたから
  ご存じの人も多いと思います。
  竜田一人さんの『いちえふ』を
  今日は紹介します。
  福島原発で働いた経験をもとに
  描かれた漫画。
  まさかあの現場が漫画になるなんてと
  多くの人が驚いたはずです。
  未来への記録として
  漫画とはいえ
  大変貴重な文献になったと思います。
  それに
  漫画という表現手段の
  多様性に
  もう文学は追いつけないのではないかと
  思ってしまう、
  そんな作品です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  漫画だといっても侮れない                   

 東京電力福島第一原子力発電所のことを職員や地元の人は「1F(いちえふ)」と呼ぶ。
 東日本大震災で大惨事となったここで働くということは、並み大抵のことではない。だから、そこで実際に働いていた人がその職場を漫画にしたということで話題になった、漫画本だ。
 描いた竜田一人(仮名らしいが、ペンネームという言い方をしないのもいい)氏は、2011年3月11日の震災のあと、仕事を辞め、ハローワークに通って「いちえふ」での仕事を探したらしい。
 そのあたりのことは、この巻の第三話「2011年のハローワーク」に詳しい。
 ハローワークの相談員は一様に「本気?」と聞き返したという。誰もが危険度の高い職場への就職に躊躇うだろう。それを自ら志願していくのだから、「本気?」と聞き返されても仕方がない。
 竜田氏はその時の理由として「少しでも被災地の役に立てる仕事を」と、主人公に語らせている。加えて、「コレもいいし」と、賃金のことも話しているが、実際にはけっしていいものではないことも、ほかの話の中で描写している。

 漫画では主人公である竜田氏が「いちえふ」の現場にはいるまで一年近くかかったそうだし、爆発で大破した原子炉内の修復作業にその後従事することになるが、まず配属されたのは「いちえふ」構内にあり休憩所の管理員だった。
 そうはいっても防護服着用の作業であることには違いないが、次第にもっと中心へという気持ちが昂じてくる。先輩挌の作業員に「ここがワシらの戦場や」と戒められもするが、より危険なものへと惹きつけられていく姿は、事故後の「いちえふ」という特異な環境だけでなく、どんな環境にあっても男子が望む姿のような気がする。

 作品の中で作者も描いているが、「いちえふ」であったとしても、安全なところにある職場と変わらない普通の日常がある。それを事実を知らないことで、そこがまるで異様な世界だと思い込んでしまうのは危険だ。
 漫画とはいえ、実際そこで体験してきた人が見てきたものは重い。
 第六話「はじめての1F」のラストに流れる、湯原昌幸の「雨のバラード」が切ない。
  
(2015/09/11 投稿)

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