プレゼント 書評こぼれ話

  今日は二十四節気のひとつ
  寒露
  露が寒さで凝って霜になるという意味。

    水底を水の流るる寒露かな    草間 時彦

  私の年齢、60歳ですが
  あたりが寒露かもしれません。
  もう少ししたら
  人生の冬の季節になっていく。
  そんなさしかかり。
  今日は山田太一さんのエッセイ集
  『夕暮れの時間に』を
  紹介しますが、
  「夕暮れ」にもなんだか人生の黄昏を
  感じます。
  山田太一さんは私よりも20歳も年上、
  そんな方のあとを
  しっかりとたどれたら、
  どんなにいいでしょう。

  じゃあ、読もう。


sai.wingpen  老人はおのれの老齢に無知な子供                   

 脚本家であり小説家の山田太一氏は昭和9年生まれだから、今年81歳になる。
 その70代に書かれたエッセイや書評を一冊にまとめたのが本書で、おそらくタイトルの「夕暮れの時間」には自身の人生の「夕暮れ」も意味しているのであろう。
 この本では4つの章に区分されている。
 Ⅰが随筆の類、Ⅱが自身の思い出、Ⅲが自身と関係のあった人、Ⅳが書評とか本の話。
 特にⅣでは文庫本での解説や新潮社のPR誌「波」に掲載された小文が集めれている。

 山田氏は若い頃から読書をしていて気になった一文を書きとめる習慣があるようで、本に関するエッセイ以外でもそういった一文が時に顔を出す。
 山田氏の中では書きとめた一文に読んだ時の記憶が重なるのであろうが、エッセイを読む読者からすれば、引用された一文がエッセイの深みを増してくるように思える。
 何故そういうことを書くのかというと、本書に収められている「このごろの話」に引用されているミラン・クンデラの引用文がよかったからだ。
 「このごろの話」は、「文藝別冊 総特集 山田太一」のはしがきに書いた文章なのだが、その中でこんな文章を引用している。
 「老人はおのれの老齢に無知な子供なのだ。」
 つまり、クンデラは人間は常に新しい生活を営んでいるに過ぎなく、そういう点では「人間の惑星は未熟な惑星」だとしたのだが、だからこそ、山田太一さんの文章はいつも新鮮なのだと思いたい。

 けれど、「おのれの年齢に無知」であったとしても、そういう「無知」な人たちが書いた書物というのは万巻あって、例えばこの本にしてもその一つで、「無知」ではなくなろうとして人は書物を紐解くのだろうが、けれど実際には「無知」であることには間違いない。
 もしいえるとすれば、少しばかりの「知恵」はつく。
 その少しばかりの「知恵」を大切にするかどうかで、人生は変わってくるような気がする。

 大人の作家山田太一氏の言葉をなぞるのもまた、少しばかりの「知恵」をつけたい、私の試みである。
  
(2015/10/08 投稿)

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