プレゼント 書評こぼれ話

  めっきり暮れるのが早くなりました。
  秋の夜長とはよくいったものです。
  「夜長」というのも、秋の季語

    妻がゐて夜長を言へりさう思ふ     森 澄雄

  夜というのは
  なかなかいいものです。
  しかも夏のような熱帯夜もありませんから
  読書などしているのも
  秋の夜らしい。
  今日紹介する絵本は
  みやこしあきこさんの『よるのかえりみち』。
  静かな夜を描いた
  いい絵本です。
  みやこしあきこさんの絵は独特。
  こんな絵本を読みながら寝たら
  どんな素敵な夢を
  みることでしょう。

  じゃあ、読もう。



sai.wingpen  夜を楽しむ                   

 季節の移ろいは寒暖の変化もあるが、夜の長さでも季節が変わったことがわかる。
 夏から秋へ、気がついたら夜はうんと早くその帳を下し、どことなく暗さも増したような気がする。
 秋の夜長とはうまくいったものだ。
 長くなった夜に少し得をした気分になる。
 みやこしあきこさんのこの絵本を読んだあとも、その少し得をした気分を味わった。

 お母さんウサギに抱っこされて家に帰る、子ウサギ。
 レストランも本屋も店じまいを始める時間。都会では夜中になっても煌々と灯りがついているが、本来夜は誰もがその日の活動をやめて、明日にそなえるもの、だったはず。
 「よるって とても しずか」、そんなことさえ忘れている。
 静かだから、家の灯りから人の話声がぼそぼそと聞こえてくる。
 誰かが電話で話している。
 どんな話をしているのだろう。

 おいしそうな匂いもする。
 一日の営みの終わりにおいしい料理をこしらえる。作ってくれる人がいて、それをおいしいと食べる人がいる。
 くつろいでいる人も、パーティで騒いでいる人も、みんな夜を愛おしみ、楽しんでいる。
 これから出かける人が、さよならの抱擁をしている。
 みやこしさんの絵のタッチの、なんという優しさだろう。
 例えるなら、静かな夜にふっと浮かび上がる蝋燭の明かりのような。

 やがて、夜はふけていく。
 お風呂にはいってくつろぐ人、昨日の続きの本を読みながらいつの間にか眠ってしまう人、こつこつと静かな足音が去っていく。
 「いつもの よる/とくべつな よる」、夜にも色々あるけれど、ベッドの毛布にようにそれはいつもどこか温かい。
 絵本にいれられて言葉はとても少ないけれど、それがまるで夜の静かさをこわさないよう、作者の優しさのようでもある。

 こんな素敵な夜には子ウサギはどんな夢を見るのだろうか。
 寝床の子どもに読み聞かせながら、いつの間にか一緒に眠っている。枕もとには、この絵本があって、もしかしたら、こんな風につぶやいているかもしれない。
 「おやすみなさい」。
   
(2015/10/25 投稿)

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