プレゼント 書評こぼれ話

  昨日藤原和博さんの
  『本を読む人だけが手にするもの』という
  読書についての本を紹介しましたが
  その巻末に
  「付録」として藤原和博さんが薦める50冊のリストが
  ついていることは
  書評にも書きました。
  どんな本が紹介されているかというと
  『天才!』(マルコム・グラッドウェル)、
  『昭和史』(半藤一利)、
  『13歳のハローワーク』(村上龍)、
  『ぐりとぐら』(なかがわりえこ・おおむらゆりこ)、
  と、実に多彩。
  たしかにこの50冊を読むだけでも
  かなりの読書家になれそう。
  その中に
  藤原和博さん自身の本も
  何冊か紹介されていて
  今日はそのうちの一冊
  『坂の上の坂』を再録書評
  紹介します。
  読んだのが2012年。
  もう3年も前の書評ですが
  坂をのぼってくる
  自分を見ているような気分になります。

  じゃあ、読もう。



sai.wingpen  坂の上のそのまた上の                   

  『坂の上の雲』は司馬遼太郎の代表作である。明治の日露戦争を核にしてその時代に生きた人々を描いて、今なお人気が高い。
 司馬はそのあとがきの中で「このながい物語は、その日本史上類のない幸福な楽天家たちの物語」と書いている。そして、「楽天家たちは、そのような時代人としての体質で、前をのみ見つめながらあるく」と続けた。
 本書はもちろんそんな司馬の『坂の上の雲』をもじっている。著者の藤原和博氏は現代は司馬が描いた時代とは状況が違うといい、坂の上にあるのは雲ではなく、次の新たな坂だととらえている。
 寿命がのびたことで現代の人には過酷ともいえる老後の長い時間が待っている。定年延長の論議や年金問題など、働くことをやめた後も二十年以上生きなければならない現代人にとって、ぼんやり雲をみている場合ではないと藤原氏は警告している。その準備を老後にはいる55歳までにしておくべきだと。

 もしかすると、現代人はこの日本史上類のない不幸な悲観家たちになったのかもしれない。
 不安な資金、乏しい人間関係、経済破綻の恐怖、不意に襲う天災。まさに坂の上にあるのは坂、いやあるいは崖だということもある。
 本書はそういう時代だからこそ学んでおくべき55のヒントがまとめられている。
 社会、幸福、会社、消費、コミュニティ、パートナー、死、お金。不幸な悲観家だから準備は怠らない。それゆえに、司馬が描いた時代に強く惹かれもする。

 幸福な楽天家たちの時代。
 明治の人にとって、あの後日本を覆い尽くす経済の破たんや戦争の拡大が見えていなかったのだろうか。彼らにも予感があったはずだ。それでも彼らは楽天家であったのは何故だろう。
 おそらく彼らと現代人とは幸福の基準が大きく違う。現代の成熟社会では幸福こそ成熟しきっているといえる。もっと単純な、それこそ一日三膳の食事ができる喜びのようなことが幸福であると思わないかぎり、常に不幸な悲観家でありつづけるだろう。
 老後は長い。
 できれば、幸福な楽天家として生きていきたい。
  
(2012/2/17 投稿)

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