プレゼント 書評こぼれ話

  今日は文化の日

    カレーの香ただよふ雨の文化の日   大島 民郎

  先日の土曜日(10月31日)、
  「第56回 東京名物神田古本まつり」をのぞいてきました。
  神田神保町は世界でも有数の古書店街。
  しかも、カレーの名店が軒を連ねているのでも有名。
  大島民郎さんの句はそんな街を
  感じさせてくれます。
  大勢の人が古本を見て回っていて
  まだまだ読書人口はとつい思ってしまいますが
  やはり本を読む人は減少しているのでしょうね。
  今日紹介するのは
  宮本輝さんと吉本ばななさんの対談集
  『人生の道しるべ』ですが
  これを読むと
  やはり本を読むことは
  素敵なことだと
  再確認できます。
  カレーを食べながら
  ページを開いていく。
  そんな贅沢な時間は大切にしないと。

  じゃあ、読もう。



sai.wingpen  生きる姿勢                   

 宮本輝。1947年生まれ。1977年に『泥の河』でデビュー。
 吉本ばなな。1964年生まれ。1987年に『キッチン』でデビュー。
 吉本さんがデビューをした時には宮本さんはすでに作家として10年の経歴を持つ中堅作家だったことになる。その後から現在に至るまで二人ともに旺盛な執筆活動を続けて、その人気は手堅いものがある。今や二人とも大御所といえる。
 それでも、人生の先輩として、作家の先輩として、宮本さんを尊敬する吉本さんの心持ちは美しい。若い人には時にそういうことを乱暴に扱う人も多いが、吉本さんはそうではない。もちろん、宮本さんにそういう資質なりがあるのだろうが。
 そんな二人の、これは対談集である。

 語られているのは、「作家の資質」や「生きること、書くこと」といった小説家としての事柄や「父として、母として」といった家族との関係、「人間の成長とは」や「「死」はいつも身近にある」といった人生そのものである。
 それぞれが独立しているというより、人生の中には家族もあるし、「死」もある。家族の「死」もあるし、病気もある。それらが作品として結晶していくこともある。
 7つの対談がまとめられているが、全体がひとつの対談である。
 宮本さん吉本さんそれぞれが互いを鏡にして、時に宮本さんの、時に吉本さんの思いが立居振舞が浮かび上がってくる。

 宮本さんにしろ吉本さんにしろ、その作品の中に「死」は濃厚である。
 吉本さんはそのことについて、こう発言している。
 「死ぬということを生活の中で当たり前に意識する、いや意識さえせずに、しかし当然に抱いている」。
 この言葉で、吉本さんの作品の意味がぐっとせばまるような気がする。
 また、作家から見ての読書ということについても興味深い発言がある。これは宮本さん。
 「自分の実人生と、自分が読んださまざまな小説が、あるとき歯車のようにガチャッとはまるときが必ず来ます。それが大人になるということかもしれない」。
 そのことに関して、「あとがき」の中で吉本さんは「みんなが本を読まなくなって、日々はやたらに忙しく早い回転ばかりを求められ、ゆっくりものを眺める時間もなく、短時間のひまつぶしには満ち溢れているこの時代の中で」「それは違うんだ」、と宮本さんは言っていると。

 やはり波長のあう人同士の対談はいいものだ。
  
(2015/11/03 投稿)

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