プレゼント 書評こぼれ話

  読む前から
  この本は面白そうだとか
  難しそうだとか
  つい思ってしまうものですが
  今日紹介する
  村上春樹さんの『職業としての小説家』は
  手ごわそうと思って
  読み始めました。
  なんの、なんの。
  とっても読みやすい一冊でした。
  しかも、この本には
  書くことだけでなく
  読むことについても発言があって
  これなんかいいと思いませんか。

    本を読む習慣がいったん身についてしまうと
    それほどあっさりと読書を放棄することはできません。

  もう村上春樹さんのいうとおり。
  次は村上春樹さんの発言ではないですが
  ジェームズ・ジョイスという作家の言葉。

    イマジネーションとは記憶のことだ

  よく頭の引き出しみたいなことをいいますが
  想像するには空の引き出しでは役に立たないということ。
  この本まるまる、こんな刺激的な文章に
  あふれていて、
  今年のベストワンの候補です。
  もっとも今のところ、という注釈がつきますが。

  じゃあ、読もう。



sai.wingpen  村上春樹さんがもっと好きになる                   

 村上春樹さんには確かに岩盤のように強固な支持層がいて、それらの人たちのことはハルキストとか村上主義者と呼ばれているそうですが、この本のように小説でなくてもかなりの部数を売り上げている。
 特にこの本の場合は「自伝的エッセイ」と銘打たれているから、村上主義者の人は確実に手にするだろうが、できれば村上さんのことが好きではないという読者にも読んでもらいたい一冊だ。
 それほどに、面白かったし、刺激的だった。

 まず何といっても、読みやすい。
 この本がどのようにして誕生したかは「あとがき」で村上さん自身が書いているが、講演原稿を書くようなつもりで書かれたという。「だいたい三十人から四十人くらいの人」が講演を聴いているイメージで書いたという。読んだ感想でいえば、むしろ村上さんと一対一のインタビューで話を聴いている感じがする。
 それって、すごく贅沢だと思いません?
 講演というのは声という音声の加減もあるが、大体において耳に心地いい。そんな文体で書かれているのであるから、読みやすいのももっともだ。

 この本はタイトルのとおり、「職業として」どのように就いたのかみたいな話もあるし、芥川賞をとれなかった村上さんの文学賞全般に対する話もある。今年のノーベル賞発表の際には、この本からそのあたりのくだりがかなり引用されていた。
 何よりもこの本は村上さんなりの作文術に満ち溢れているのが、いい。
 先ほどの「あとがき」にも「本書が小説家を志す人々のためのガイドブック」になりえているか、と村上さんが書いているように、何か書きたい、それは小説でなくともいいのだが、と思っている人には刺激的かつ有益な文章がつづく。
 村上さんが好きかどうかはともかくとして、参考にはなるだろうし、ふむふむこういう風にして村上作品は出来ているのだと感心したりする。
 ちょうど夜中に自分に替わって靴を作ってくれる小人を見つけた気分だ。
 例えばこんな文章。「どんな文章にだって必ず改良の余地はある」。

 この本を読んで小説家という「職業」が素晴らしいと思うかどうかは人それぞれだが、少なくとも村上春樹さんには合っていたのだと思う。
  
(2015/11/05 投稿)

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