プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介するのは
  官能小説です。
  私的にはR18に近いR15かな。
  石田衣良さんの短編集『MILK』。
  石田衣良さんの作品なら
  大丈夫。
  そんな声が聞こえてきそうですね。
  女性読者も多い石田衣良さんだから
  許されるのでしょうね。
  でも、本当にスゴイですよ。
  と、書いてきて思ったのですが
  案外石田衣良さんは
  男性に向けて書いたのではなく
  女性に向けて書いたのかも。
  石田衣良さんの本なら
  女性が読んでいても安心しちゃうじゃないですか。
  これって、
  やっぱり不公平ですよね、
  花房観音さん。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  石田衣良は魔術師だ                   

 石田衣良という作家は実に器用だ。
 『4TEEN フォーティーン』という作品で第129回直木賞を受賞後、さまざまな作品を書きこなしている。その容姿からTVのコメンテーターやクイズ番組でも見かけることがある。
 こういう人が官能小説を書いても、官能作家と呼ばれることはない。
 あくまでも石田衣良が書いた官能小説になるだけだ。
 それがどんなに刺激的な作品であってもだ。

 この本は10篇の短編官能小説集だ。
 石田衣良さんの作品集だから、青少年たちも読むだろうが、これはまちがいなく官能小説だ。だから、読んではいけないといっているのではない。
 ただ官能作家と呼ばれる一群の人たちが書いた本なら眉をひそめることはあっても石田衣良ならOKというのは少し不公平ではないか。
 まあ人徳といえばそれまでだろうが。

 表題作の「MILK」。少年時に少女の体臭に甘美なものを感じて成長した雄吾はそういう性癖を隠しながら成長し、三歳下の摩子と結婚する。結婚生活も3年になり、新鮮だった夫婦生活もいつの間にか薄れ、四ヶ月以上性交渉もない。(夫婦間のセックスレスの問題はこの短編集には他にもあって、短編集自体がセックスレス夫婦官能小説集のようでもある)
 ある日、妻の摩子が熱を出してしまう。会社の歓迎会を切り上げて家に帰った雄吾は何日間か風呂にはいっていない妻の体臭を嗅ぎ、欲情が高まって・・・。
 もちろん、「・・・」の部分は情愛の場面だが、どんなに刺激的に書いても、石田衣良の小説なのだ。

 石田衣良は器用だから、こういう官能小説もすんなり、ということはきっとないのだろうが、書いてしまえるところがある。それを表題作のように甘い「MILK」みたいなタイトルにしてしまうのだから、石田衣良の魔術と呼んでもいい。
 この「MILK」のほかに、「坂の途中」も「アローン・トゥゲザー」もセックスレスもの。
 その「アローン・トゥゲザー」にこんな一節がある。
 「女が誰かとつながるたびに、ちいさな海をつくってなにが悪い」。
 これを魔術と呼ばずしてどうする。
  
(2015/11/07 投稿)

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