プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  葉室麟さんの『草雲雀』を紹介します。
  「雲雀」は「ひばり」と読みます。
  「草雲雀」というのは、小さなコオロギのこと。
  秋の季語でもあります。
  歳時記にはこう記載されています。

    フィリリリリと、小さな鈴を細かく震わしたような澄んだ声

  関西では「朝鈴」というそうです。

    大いなる月こそ落つれ草ひばり   竹下 しづの女

  この俳句のような
  長編小説です。
  葉室麟さんは
  最近立て続けに新刊を出していて
  読者はきっとうれしい悲鳴ですね。
  この作品もまた
  いい作品に仕上げっています。
  草雲雀の音を聞きながら
  読むのもいいですよ。

  じゃあ、読もう。



sai.wingpen  バディの友情                   

 ブレイク・スナイダーの脚本術を著した『SAVE THE CAT の法則』という本の中に、映画は10のジャンルに分けられると載っている。映画だけでなくエンタメ系の大衆小説も同様かもしれない。
 葉室麟が2014年7月から2015年4月まで「月刊ジェイ・ノベル」に連載した長編時代小説もこの分類にあてはめることができる。
 すなわち、この長編は二人が一つになっていく「バディとの友情」というジャンルにはいる。
 長編小説にはさまざまな登場人物が登場する。当然主人公がいるわけだし、その主人公を助ける脇役も登場する。その脇役次第で、物語がよくなったりすることは多分にあるし、葉室もこれまでもそういう脇役を数多く登場させてきた。
 しかし、この作品では「バディ」(相棒のこと)との友情がしっかり描かれている。

 主人公は媛野(ひめの)藩の三男坊で部屋住み暮らしの栗屋清吾。三十を前にして、剣術道場の師範代としての収入しかない。 そんな清吾は女中のみつと情を交わし、妻とする。しかし、家督を継いだ兄からは子をなしてはならぬときつく叱責される。
 清吾の道場仲間伊八郎もまた部屋住みの身分ながら、ある時ひょっこりと実父の存在がわかり、しかもその跡継ぎに迎えられることになる。しかも行く末は家老だという。
 しかし、伊八郎は自分に危害の迫っていることを感じ、清吾に用心棒を依頼する。自分が家老になった暁には、みつの子が持てるだけの身分を与えるという。
 清吾は伊八郎の要請を受けることになる。それが、二人の危機の始まりとなる。

 伊八郎の家老就任にまでに二人に襲いかかる難題の数々。それを伊八郎は頭でもって、清吾は剣術でもって解決していく。
 最初は浮かれた感じすらあった伊八郎が徐々にその志を明らかにしていく中で、清吾の人のよさが浮き彫りになっていく。
 それはどちらがいいとか悪いとかということではない。
 二人は「ダディ」なのだ。互いに助け合い、そうして思いを成就していく。
 葉室麟の作品の中では異色かもしれないが、読後感が心地いい、「バディの友情」物語だ。
  
(2015/11/19 投稿)

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