プレゼント 書評こぼれ話

  東日本大震災から4年9ヶ月。

  また東北に寒い冬がやってきました。
  毎年この時期になると
  黙々と雪かきに追われる東北の人たちのことを
  思い出します。
  本格的な冬はまだこれからでしょうが
  しばらく厳しい日々に
  はいっていきます。
  今日紹介するのは子ども向けの
  写真集です。
  永幡嘉之さんの
  『大津波のあとの生きものたち』。
  ここでは視点を
  津波のあとの小さな生き物にあてています。
  津波のあと
  その生き物たちがどう生命をつないできたか
  そして、
  街の復興とともにその生き物たちが
  どうなっていくのか。
  そこまで思いやれるということが
  本当の復興なのかもしれません、

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  小さな命を思いやる                   

 東日本大震災のような大きな災害のあとでは、どうしても人の暮らしの復興が優先されるのは仕方のないことです。
 でも、あの日、大きな津波で被害にあったのは人間だけではありません。木々も虫たちも鳥も動物たちも棲むところを失くしたり、これからの成長を断念しなければならないこともあったのです。
 彼らは震災のあと、どのように生きていったのでしょうか。
 自然写真家永幡嘉之さんは震災のあと被災の海岸にはいって、動植物の姿を写真に収めていきます。この本は、彼らの姿を通じて、復興のあるべき姿を考える、写真集です。

 震災直後の林、水田、畑、まるで「何もかもいなくなった」かのような世界。永幡さんは心配しながら歩き始めます。
 でも、そこには以前よりも豊かな自然の世界が広がっていました。
 砂浜のハマヒルガオやハマナスは2年めには次々と花を咲かせます。砂浜の虫たちも津波以前よりも増えています。
 ヤマユリやスイカズラの花も咲きました。
 圧巻は水路や水たまりに「さざ波が立つほどたくさんのミナミメダカ」でしょうか。
 写真は、そのままを伝えてくれます。

 水田だったところにはミズアオイの青い花が咲きほこっています。
 「以前は水田や水路にふつうにさいていたけれども、近年では、農薬や水路の工事などによって姿を消し、まぼろしの花になっていた」。
 永幡さんの言葉です。
 ミズアオイの写真を見ていると、もしかしたら、震災で私たちは大事なものを思い出しかけていたのかもしれないということに気づかせてくれます。
 しかし、残念ですが、「復興」という名のもとに、そういう自然を再び切り捨てることになります。

 津波で被害にあった人たちがいて、その人たちの生活を元の生活に戻していくことはとても大事なことです。
 あの日を境に生活の姿が変わった人がいて、あの日があっても何一つ生活が変わらない人がわかったようなことをいうのはためらいがあります。
 けれど、永幡さんはこう言います。
 「あの、大きな津波をくぐりぬけた、たくさんの生きものたちが暮らす砂浜を、森を、そして水辺を、未来へと残す知恵は本当になかったのだろうか」と。

 自然との共存。津波という自然の驚異を目の当たりにした私たちだからこそ、考えるべきことかもしれません。
  
(2015/12/11 投稿)

  芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
Secret

TrackBackURL
→http://hontasu.blog49.fc2.com/tb.php/2673-c8bd21b3