プレゼント 書評こぼれ話

  今週、第154回芥川賞、直木賞
  決定しましたね。
  芥川賞が、
  滝口悠生さんの『死んでいない者』と本谷有希子さんの『異類婚姻譚』、
  前回に続いてW受賞。
  直木賞が、青山文平さんの『つまをめとらば』。
  3人の皆さん、おめでとうございます。
  今日紹介する『青べか物語』を書いた
  山本周五郎さんは「日本婦道記」で第17回直木賞に推されるましたが
  辞退しています。
  その理由を
  「もっと新しい人、新しい作品に当てられるのがよいのではないか」と
  しています。
  山本周五郎さんはこの時、40歳。
  今回直木賞を受賞した
  青山文平さんは67歳。
  がんばれ、青山文平さん。
  まだまだ新人というのがいいですね。
  今回の『青べか物語』は
  私の山本周五郎初体験の作品です。

  じゃあ、読もう。


  

sai.wingpen  はじめて読む山本周五郎                   

 大きな声で言えないので、小さな声で言いますが、実は山本周五郎の作品を読むのが初めてなんです。そう、あの山本周五郎をです。
 周五郎作品なら新潮文庫でずらりと並んでいますし、周五郎ファンはたくさんいるってことも知っていますが、どうも縁がなかった。
 どうもそれが気にかかって仕方がなかった。
 それで手にしたのが、この作品。山本周五郎の中でも代表作ともいえる作品。
 でも、読み終わったあとで、ちょっと不安にもなっています。本当にこの作品でよかったのか、『さぶ』とか『樅ノ木は残った』とか『季節のない街』とかの方がよかったのではないか、と。

 この作品は昭和36年に刊行されています。今の浦安(作品では浦粕となっています)を舞台に描かれたスケッチ風の作品です。周五郎とおぼしき「蒸気河岸の先生」がその町で見聞したことが小さな物語となっています。
 ちなみに「青べか」というのは青ペンキを塗られた一人乗りの平底舟のこと。別段その舟が重要な要素になっているかといえばそうではなく、ほとんど乗るに堪えないその舟を買う(押し付けられる)ところから始まっていく。
 この最初の話ですでにこの町の臭いや風や人情が垣間見えてくる。

 周五郎は実際浦安に大正15年から昭和4年まで住んだことがあって、ここで描かれている話が実際どこまであった話なのかわからないが、町の住民たちの人情は変わらないのではないか。もっとも今の浦安が同じだとは言えはしないだろうが。

 小さな話の籠の中からもっともおいしい麺麭を選ぶとすれば、私は「蒸気河岸の先生」が八年後にこの町を再訪した場面を記した「おわりに」が好きだ。
 そこで先生は「留さんとその女」という作品で主人公にした留さんとばったり出くわす。けっしていい人物に描かなかった留さんに会ってあわてる先生に留さんはあの話を「おら家宝にすんだよ」と笑う。
 留さんのような人が住んでいる町こそ、山本周五郎の愛した町なのかもしれないし、だからこそ山本周五郎は今でも人気が高い作家なのだろう。
 だとしたら、山本周五郎初体験としては、この作品でよかったのではないか。
  
(2016/01/23 投稿)

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