プレゼント 書評こぼれ話

  昨日紹介した
  「ひょっこりひょうたん島」の脚本を書いた一人が
  井上ひさしさん。
  この番組のあと
  直木賞を受賞したり
  戯曲を書いたりと
  大作家の道を歩んでいきます。
  井上ひさしさんが亡くなったのは
  2010年の4月9日。
  亡くなる前に
  三女の井上麻矢さんにこまつ座の経営を
  譲ります。
  単に譲っただけではありません。
  病床から
  毎晩のように麻矢さんに
  電話をかけたそうです。
  そこで話された
  井上ひさし語録を集めたのが
  今日紹介する
  井上麻矢さんの
  『夜中の電話 父・井上ひさしの最後の言葉』。
  井上ひさしさんが亡くなったのは
  75歳の時。
  やっぱりエラい人は
  早く亡くなるなあ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  言葉が残った                   

 親はわが子に何を遺せるだろう。
 小説家で劇作家でもあった井上ひさしは2009年の秋にがんの告知を受け、その後治療に専念したが翌2010年4月亡くなった。75歳であった。
 死の直前三女の麻矢さんに自身の劇を上演する「こまつ座」の社長に任命する。そして、深夜麻矢さんに向けて毎晩のように電話をかけてきたというのだ。しかも、その電話は時に朝まで延々と続くこともあったという。
 井上は麻矢さんに何を遺そうとしたのだろうか。

 この本の著者でもある麻矢さんが井上の前妻との間にもうけた三人の娘の一番下である。
 井上の離婚後、麻矢さんとの間に確執が残った。それまで平和であった家庭がある日修復不可能となるのであるから、しかもそれが自身の多感な時期ともなれば、辛いことであっただろう。
 しかし、麻矢さん自身がその後結婚したものの離婚を経験し、あるいは井上のそれをも理解できたということもあったのだろうか。
父と娘はやがて和解し、父は娘に「こまつ座」を託すことになる。
 そして。多くの言葉を、この本ではそのうち77つが紹介されている、その子に残した。いや、それは「こまつ座」と同じように、託したというべきだろう。
 その言葉は麻矢さんという娘だけでなく、多くの人々の胸を打つ。
 このようにして井上は考えていたのか。
 麻矢さんが「夜中の電話」に教えられたように、読者もまた井上の言葉に教えられることが多い。

 井上の遺した言葉の中にこういうのがある。
 「言葉はお金と同じ。一度出したらもとに戻せない。だから慎重によく考えてから使うこと」。
 言葉を生業にしていた井上らしいともいえるし、きっと井上もまたそういう取り返しのつかない言葉を発したことがあったのだろう。
 芝居について。「観終わった後に、人生はそんなに悪いものではないかもしれないと、沸々と勇気が湧いてくるような」そんな芝居がいいと。おそらく芝居だけでなく、小説にしてもそうだし、生き方そのものもそうかもしれない。
 父親にこんなに素晴らしい言葉を遺してもらった娘はきっと仕合せだろう。
  
(2016/02/13 投稿)

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