プレゼント 書評こぼれ話

  今日は先日第154回直木賞を受賞した
  青山文平さんの『つまをめとらば』を
  さっそく紹介します。
  今回の直木賞の候補作をみると
  受賞作となった青山文平さんの作品が
  もっとも地味な感じがします。
  それに青山文平さんの年齢もあわせて考えると
  受賞からは
  遠いような印象を受けていました。
  ところが、実際作品を読むと
  意外なくらい
  新鮮な軽妙さを感じました。
  現代的な感じさえ受けました。
  ちょっと得した気分です。
  こういう作品が受賞したのが
  うれしくなります。
  受賞作ですから
  本屋さんもどんどん売ろうとするでしょうが
  時代劇か、
  古くさそうだし、
  なんて尻込みしないで下さい。
  いい読書気分を味わえますよ。

  じゃあ、読もう。



sai.wingpen  新鮮な風が吹いたような                   

 第154回直木賞受賞作。
 直木賞としては久しぶりの時代小説の短編小説集の受賞である。
 表題作を含め6つの短編が収められている。
 作者の青山文平氏は受賞作家歴代二位の高齢受賞ということで話題となったが、現代では67歳の年齢だからといって驚くには価しないだろう。それにこの作品を読む限りにおいて、実に若々しい。
 選考委員の一人宮城谷昌光氏は、この作品を「知的でユーモア、爽快感がある」と評しているが、今までの時代小説になかったセンスのような気がする。

 一汁三菜が和食の基本と言われるが、青山氏のこの作品はその中に西洋風の汁やおかずがはいっているような感じがする。
 食する側からすれば、少し違和感を感じるかもしれない。けれど、それが美味であればその違和感もやがては満足感になるし、違和感そのものが新鮮に感じるようになる。
 青山氏の作品にそんな風味を感じた。

 「つゆかせぎ」という短編から青山氏の作風の魅力をみてみよう。
 妻に先立たれた主人公は妻が生前密かに戯作者であったことを知る。妻が嫁いできたのも、自分の俳句の才能を信じてのことだったということを今更ながらに思い知る主人公は、妻はいつまで自分のことを信じてくれていたか思い煩う場面がある。
 その後の場面に、「あまい、あまい」という甘酒売りの声がはいる。
 ここで、私は唸ってしまった。
 たまたまそこに甘酒売りが通りかかっただけであるが、懊悩する主人公の思いそのものが「あまい」と描くのではなく、甘酒売りの売り声に語らせる妙味は、いかにもでもある。
 青山氏のうまさはこういうところにあるのだろう。

 さて、表題作の「つまをめとらば」である。子供の頃よりの友達であった二人の武士が、時を経て再会してみれば、互いに知らないことばかりの日々を過ごしていたことに気がつく。
 一人は何度も結婚に失敗し、もう一人は一度も結婚していない。ところが、子供の頃にようにしばしば同じ時間を過ごしてみると、なんとも心地よい。年老いてこんな生活もいいかと思い出すのであるが、そこにもまた女人の影が。
 なんとも暖かで緩やかな作品だ。
 受賞作として、いうところなしの佳品である。
  
(2016/01/30 投稿)

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