プレゼント 書評こぼれ話

  ついに読みましたよ。
  再読しましたよ。
  川上弘美さんの『センセイの鞄』。
  ずっと気になっていたのですが
  やはりそろそろ読まないと、と
  一大決心をして(おおげさな)
  ページを開きました。
  もっと長い小説のように思っていたところが
  あります。
  実際はほどよい分量。
  しかし、いいなぁ。
  この世界。
  きっとこれはファンタジーに近いんでしょうね。
  センセイのような先生はいないし、
  ツキコさんのような女性も少ない。
  これから何度この本開くことになるのか
  わかりませんが
  きっとツキコさんもセンセイも
  変わらずに待っていてくれそうです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  おとなのファンタジー                   

 再読というのは、少し怖い。
 その本がお気に入りであればあるほど、怖さが増す。
 再読をしてがっかりしたらどうしよう。最初の感動が薄れやしないか。
 手にしたいけど、なんとなく遠ざけておきたい。
 私にとってのそんな一冊が、この本だった。
 結果は杞憂であった。
 やっぱりあったかい気持ちになって、それはこの物語のツキコさんとセンセイが居酒屋で口にする肴や酒の感じに近く、満足して外に出れば月が煌々と輝いていたりする気分になっていたりする。

 新潮文庫のこの本には文芸評論家の斎藤美奈子さんの解説が載っていて、その冒頭にこの作品が「出るまでの川上弘美は、もちろん文学好きの根強いファンがついていたとはいえ、「知る人ぞ知る」くらいの作家だった」とあるのは、まったくその通りで、川上弘美はこの作品で大ブレークして、現代作家きっての恋愛小説の書き手になった。
 私もその一人で、おそらくこの作品以降の川上弘美の作品はすべて読んでいる。

 この作品は17編の作品でできた長編小説だが、最初読んだ時は、終盤のツキコさんとセンセイがざわざわした心持ちで何やら異界で遊ぶ「干潟―夢」の章に違和感をもったが、今回はそれもすっとはいってきた。
 これは私の成長なのだろうか。
 そもそもこの小説をずっととても長い小説のように感じていたが、けっしてやたらに長いわけでもないし、読み始めると短編小説を読んでいるかのような感じすらした。
 恋をしたらその対象を過大に評価するかのような、そんな思いがこの作品にも持ってしまったのであろうか。

 ツキコさんはセンセイと一緒にいる気持ちを、本の帯にたとえてこんな風にいう。
 「買った本の帯を取るよりも取らずに置いておきたいのと同じ」。
 こういう気持ちというのは、ただただわかるというしかない。
 37歳のツキコさんが学生時代の恩師であるセンセイに恋するというのも、じつはこのただただわかるということでしかない。
 だからといって、何がわかるというのだと聞かれても、うまく答えようもないのだが。

 再読して思った。
 やはり川上弘美のこの作品はいい。とってもいい。
  
(2016/02/20 投稿)

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