プレゼント 書評こぼれ話

  1月から受講していた
  「さいたま市民大学 -北沢楽天からアニメまで-」全8回の講座が
  先週修了しました。
  この講座は漫画からアニメまでを網羅し、
  その歴史から現状の問題まで
  充実の講座でした。
  なかでも
  「ドラえもん」の長編映画を数多く監督した
  芝山努さんの講座は
  芝山努の絵コンテも拝見でき
  かなり感動ものでした。
  講座のタイトルにもはいっている
  北沢楽天岡本一平と肩を並べる漫画家で
  さいたま市の出身。
  埼玉は何も自慢するところがないといわれますが
  北沢楽天なんか
  もっと自慢していいのでは。
  そして、もう一人
  児童文学の石井桃子さん。
  石井桃子さんは埼玉の浦和の出身。
  もっともっと自慢できる。
  どうしてアピールしないのかな。
  そこで今日は
  ちくま評伝シリーズ<ポルトレ>から
  「石井桃子」を紹介します。

  じゃあ、読もう。

  


sai.wingpen  種を蒔く人                   

 何度書いても構わないが、ちくま評伝シリーズ<ポルトレ>の魅力は取り上げる人のセンスの良さである。
 この巻は児童文学者石井桃子である。
 石井は2008年4月に101歳で亡くなった。没後も石井の作品はエッセイ集など多く出版されている。
 あるいは、本格的な評伝『ひみつの王国』(尾崎真理子 著)が出版されるなど、没後さらに石井の評価は高まっているように思う。
 そして、この中高生向けの評伝にラインナップされることで、その幅が広がった。
 石井が翻訳した絵本で育った子どもたちにとって、石井が歩んできた道を知ることは女性が働くことの大変さ、戦争という時代が人の運命に及ぼす影を知るきっかけにもなるだろう。

 さらに石井には自身の幼年期の姿を描いた『幼ものがたり』や成長してからの姿を小説として描いた『幻の朱い実』といった作品もある。
 子どもたちにきっかけを与えれば、どんどん石井の「ひみつの王国」に踏み入ることができる。そういう作家は少ないのではないだろうか。
 それほどに石井の活動の幅は多様である。

 この本では<巻末エッセイ>を直木賞作家中島京子が担当している。中島が直木賞を受賞した作品は『小さいおうち』。
 石井が翻訳したバージニア・リー・バートンの絵本の題名が『ちいさいおうち』で、中島は二つの関係をエッセイでこう綴っている。
 「この絵本を何度も読み、自分の作家としての骨肉を形成したというほどの存在」であり、石井訳の『ちいさなおうち』に捧げられたオマージュだと。
 一冊の絵本が子どもたちにもたらすものは計り知れないことは、中島のこの文章からもうかがえる。
 もし、石井の翻訳による絵本がなければ、中島京子という作家は生まれなかったかもしれないのだから。

 私は石井桃子の評価は衰えることはないと考えている。
 どころか、これからますます石井の評価は高まるだろうし、彼女の道を歩きだす若い人たちもどんどん誕生するような気がする。
 石井桃子が蒔いた種は確実に大きな実をつけている。
  
(2016/03/03 投稿)

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