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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は絵本です。
  ジャネット・ウィンターさんという人が書いた『バスラの図書館員』という絵本。
  「イラクで本当にあった話」とあるように、ニューヨーク・タイムズの記事として
  世界に配信されたものを、
  ウィンターさんが絵本にしました。
  翻訳は長田弘さんという、本のこともたくさん書いている、
  詩人の方がおこなっています。
  この絵本のことを、
  先に読んだ田中共子さんの『図書館で出会える100冊』で知りました。
  読みたいな、と思って、
  図書館で出会えました。
  絵本の書評はなかなか難しいものですが、
  できるだけ子どもたちにも読んでもらえるように、
  やさしく書くようにしています。
  ですから、文体は「です、ます調」に、どうしてもなります。
  今回の書評を読んで、
  大人の人も読んでみたいと思ってもらえたら、
  いいのですが。

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バスラの図書館員―イラクで本当にあった話バスラの図書館員―イラクで本当にあった話
(2006/04/10)
ジャネット・ウィンター

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sai.wingpen  平和は人を優しくする               矢印 bk1書評ページへ

 2003年春イラク侵攻がバスラに達した時に図書館の蔵書を守ろうとした図書館員とその友人たちの勇気ある実話を絵本にしたこの本のなかに、印象的な絵が二枚あります。
 それは、このお話の主人公でもあるアリア・ムハンマド・バクルさんという図書館員の女性の顔を描いた絵です。
 アリアさんは、「本は、黄金の山よりもずっと」価値のあるものと考えている人です。戦争の火でそんな本が滅んでしまうことは、彼女には絶対許せないことなのです。
 だから、アリアさんは当局にも掛け合いますし、それが無理だとわかると、友人たちの協力を得て、図書館のたくさんの本を自分たちの手で避難させます。やがて、戦火は図書館にもおよびます。でも、アリアさんたちのがんばりで図書館の本のほとんどは助かりました。
 そのあとに描かれた、二枚のアリアさん。
 ひとつには「アリアさんはのぞみをすてません。」という文章がつけられています。
 しかし、彼女の背景は暗い戦争の風景が描かれています。燃えあがる町、戦車や戦闘機の爆撃。アリアさんは悲しい顔をしています。
 もう一枚のアリアさんにも、「アリアさんは戦争が終わるというのぞみをすてません。」という、先のものとよく似た文章がついています。でも、アリアさんの表情は、先のものとはまったくちがいます。
 目を閉じ、柔らかな表情をしています。なぜなら、アリアさんのまわりには、美しい青い空と静かな湖が描かれています。
 アリアさんが望む、それが平和の世界なのでしょう。そこには悲しみも嘆きもありません。
 人は、平和の世界を夢みるとき、優しくなれる。
 二枚のアリアさんの絵はそういうことを教えてくれます。

 そんなアリアさんを育てたのは、たくさんの本だったにちがいありません。
 最後のページの、たくさんの本に囲まれて立つ、強い意志をもった図書館員アリアさんをみて、そう思わざるをえませんでした。
  
(2009/07/30 投稿)
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