プレゼント 書評こぼれ話

  昨日までの山田太一さんつながりでいえば
  今日紹介する
  ちくま評伝シリーズ<ポルトレ>
  『小泉八雲』の代表作のひとつ
  『日本の面影』を
  山田太一さんが1984年にテレビドラマ化しています。
  ハーン役をジョージ・チャキリスさんが演じています。
  さすが山田太一さんは
  題材をさがすのもうまい。
  この本を読むと
  小泉八雲、つまりラフカディオ・ハーン
  とっても気になってきます。
  というか『日本の面影』も『怪談』も
  読みたくなってきます。
  こういう人が松江という町に
  行ったということ自体
  明治の奇跡のように
  思われます。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  ハーンとは何者か                   

 小泉八雲ことラフカディオ・ハーンのことをどれだけ知っているか。
 「耳なし芳一」や「雪女」などの『怪談』を書いた作家であるとか松江に住んで結婚して小泉姓を名乗ることになったとか東京帝国大学で夏目漱石の前に教鞭をとっていたといった断片しか知らない。
 中高生向きのちくま評伝シリーズ<ポルトレ>の「小泉八雲」は評伝だけあって小泉八雲の全体像をコンパクトにつかむことができる。

 そもそもハーンとは何者であったか知らない人も多いのではないか。
 彼の肩書はいうなればジャーナリスト。アメリカ時代(彼はもともとギリシャの生まれ)には多くの新聞に関わった記者であった。
 だから、彼が1890年(明治23年)に日本に来たのは旅行記を書くぐらいの気持ちだった。ところが、原稿料のことでアメリカの会社ともめ、一文無しになってしまう、
 そんな彼のもとに島根県松江の教師の職が空いているという連絡が入る。
 この偶然がなければ、ハーンの人生も八雲の登場もなかったでしょう。

 ハーンの人生にはこんな偶然がしばしば登場する。
 特に松江の場合、その影響は大きい。ひとつは神の国出雲が近かったこと、のちに妻となる小泉セツと出会ったこと、そして彼を師事した青年たちがいたこと、それらはまさに僥倖といえる。
 今でも松江には「ヘルン通り」があるが、この「ヘルン」は「ハーン」を読み間違いしたものだという。
 それほどに八雲と松江の関係は深いが、実際八雲が松江に住んだのは1年2カ月と15日でしかない。
 人は時に人生における大きな頂きを得ることがある。
 八雲にとって、松江で過ごした日々はそうであったのだろう。
 それは時間の長短ではない。
 まさに奇跡のような時間であったにちがいない。

 八雲は1904年、54歳の生涯を閉じますが、日本に来たのは40歳の時。
 つまり早すぎる晩年を日本で過ごしたに過ぎない。
 もし、小泉八雲、ラフカディオ・ハーンの全体像を知ろうとすれば、それまでの人生を見ることを忘れてはいけない。
 この一冊はきちんとその姿も描いて、読み応えあるものになっている。
  
(2016/03/17 投稿)

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