プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介するのは
  永田守弘さんの『日本の官能小説』。
  この本によれば
  戦後最後に摘発されたのは
  1978年の富島健夫の『初夜の海』だという。
  富島健夫といえば
  今は知らない人も多くなったが
  青春小説もたくさん書いていて
  『雪の記憶』などは
  私が中学生の頃に読んで
  胸ときめかした作品のひとつだ。
  この作品は今では図書館にも所蔵されていなくて
  なかなか読むことができない。
  読みたいものですが。
  そういえば、関根恵子さんが主演した
  映画「おさな妻」も
  富島健夫の原作でした。
  もう一度、読みたいものです、
  富島健夫

  じゃあ、読もう。



sai.wingpen  真面目な官能小説                   

 一口に「官能小説」といっても、さまざまなジャンルがある。
 熟女もの、童貞少年もの、SMもの、時代もの、ロリコンもの、母と息子もの…。
 そういったジャンル分けを横軸とすれば、本書は終戦以降の「官能小説」の歴史的な深化を縦軸として読み解いていこうという、画期的な一冊である。

 作者の永田守弘氏について簡単に紹介しておこう。
 1933年生まれというから現在は80歳を越えておられる。戦後間もない頃から官能小説を読み始め、「ダカーポ」という雑誌に毎号官能小説を紹介し始めた1981年頃より本格的に読みだしたという。その数、年間約300冊というから、おみそれした。
 永田氏の代表作といえば『官能小説用語表現辞典』。これは内容的にも貴重だ。(といっても一般の読者にとってはどうだろう)
 そして、今回の本はまさに労作。「官能小説」をめぐって、その時代背景とともにそれがどのように変化していったかを実に丁寧に綴っている。

 「官能小説」の大きな分岐点として挙げられるのはおそらく「女性官能作家の登場」であろう。
 永田氏もそのタイトルで一章を設けている。
 永田氏が注目したのは1978年の丸茂ジュンの登場。「当時の衝撃は語り草」と記されている。
 それから7年後の1985年には「官能小説の文庫サイズ化」は「戦後の経過のなかでも大きなエポック」と、永田氏は見ている。
 確かに文庫サイズになることで「官能小説」は日常化したともいえる。今日でも駅や空港などでは「官能小説」がりっぱに売られている光景を目にする。
 日常化ということは、すなわち淫靡さが減少したともいえる。「官能小説」を読んでいても恥ずかしくなくなったのだ。

 面白いのは、ファンの中に「お尻派」と「おっぱい派」がいるという考察。
 これは「猫派」対「犬派」の戦いに似ていなくもない。

 こうしてみていくと、「官能小説」もさまざまな書き手と時代の求める嗜好で常に変化していることがわかる。
 ある意味、文学という世界にあって「官能小説」が読み手に対して一番真摯なのかもしれない。
  
(2016/03/24 投稿)

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