プレゼント 書評こぼれ話

  昨日
  川口則弘さんの『ワタクシ、直木賞のオタクです。』という本を
  紹介しましたが
  その本の中で
  選考委員浅田次郎さんと直木賞受賞に至るまでのバトルを紹介されていた
  池井戸潤さんの作品を
  今日は紹介します。
  『七つの会議』です。
  池井戸潤さんは
  『下町ロケット』で第145回直木賞を受賞。
  この作品は受賞後の作品となります。
  池井戸潤さんは今でこそ
  圧倒的な支持を集める
  作家ですが
  直木賞には何度か候補になりつつも
  「文学性が低い」といった理由で
  落されてきた経緯があります。
  それを『下町ロケット』で
  選考委員を力で押し切ったそうです。
  川口則弘さんの本、
  役に立つな、さすがに。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  よく似た不祥事は後を絶たない                   

 会社というものはとかく会議が多いものだ。
 数十人が出席する大きな会議もある。それが1時間も開かれれば、総時間は馬鹿にはならない。
 実際その場でほとんど発言しない人もいたりするし、持ち越しとなる案件も多い。
 それでも意思の統一を図るためには、会議は欠かせない。
 池井戸潤のこの長編小説のタイトルはいささかそっけない。初出の日本経済新聞電子版に連載時にはタイトル通り7つの作品だったが、単行本化の際に一篇が加筆されたので、実際には「八つの会議」になるはずだったのではないだろうか。奇妙なタイトルだ。
 しかも、長編小説とは書いたものの一つひとつの作品は主人公が別々で、8つの短編で出来上がっているともいえる構成になっている。
 作品の完成度からいえば短編としてよりやはり長編小説というのが合っているだろうが。

 大手総合電機メーカーソニックの子会社東京建電という中堅メーカーが舞台となっている。
 物語の発端はパワハラ。営業一課の優秀な課長坂戸が出来の悪い部下八角に厳しい指導をしたことで訴えられる。誰もが坂戸の肩を持つが、会社が下した判断は坂戸の異動。
 しかし、その裏には大きな闇がある。
 回を追うごとにその闇が明らかになっていく手法は、読むものの手を休めさせない。
 どうなる、どうなる、と止まらない。
 こういうのを読書の快感と呼ぶのだろう。

 その中にあって、第三話の「コトブキ退社」は異質だ。
 社内の不倫の果てに退職することになった浜本優衣が主人公。退職にあたり「これは自分がやった仕事」といえるものがないことに気がついた優衣。退職までの数カ月で彼女は必死に駆けずり回る。それまで退屈であった会議にも積極的に発言するようになっていく。
 長編の中ではあまり関連がないように感じる一篇だが、もしかしたらこの一篇こそ会議の本質を突いているのかもしれない。
 誰もが「自分の仕事」と思っていれば、会議への参加意欲も変わってくる。

 会社の不祥事を扱ったこの作品が発表されたのが2012年。
 現実の世界ではこの作品と同様の不祥事が数多く明らかになっているのが現実だ。
 その点では、もっと読まれていい作品だろう。
  
(2016/04/14 投稿)

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