プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介するのは
  泉麻人さんの『僕とニュー・ミュージックの時代』。
  ニュー・ミュージックといえば
  すぐに荒井由実さんのことが
  頭に浮かぶが
  私の遠い記憶では
  まだ荒井由実さんが出始めの頃
  (確か)TBSで彼女の番組があったような気がする。
  テレビの前にラジカセを置いて
  必死になって録音しようとしていた
  自分を思い出すのだが
  あれはいつの頃だろうか。
  今のように
  簡単に音楽を自分のものにできなかった
  昭和40年代終わりの頃の話だ。
  なんだか泉麻人さんの本を読むと
  ついあの頃のことが
  思い出される。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  歌は世につれ                   

 本書の著者泉麻人さんの誕生日は1956年4月8日。これはキャンディーズのスーちゃん、田中好子さんとまるで同じだそうだ。
 二人とも私の一学年下にあたるが、同世代といっていい。
 この本は泉さんの十代終わりから二十代初めにかけての極めて私的な「LPのアルバムで聴いたニュー・ミュジックについての思い出話」なのだが、私が聞いていたものとあまりに違う。
 泉さんがはっぴいえんどとか吉田美奈子とか荒井由実に夢中になっていた頃、私は中島みゆきだとか山崎ハコばかりを聴いていた。
 そういえば「暗い歌ばかり聴いてるな」と友人にもあきれられていた。
 そんな歌の傾向は今でも続いているが、確かに今思えば暗い歌聴いていたものだ。

 泉さんといえば東京で生まれた慶応ボーイ。
 一方私といえば大阪の郊外で生まれ、大学生になって東京に出てきたものの、いわば地方からでてきた人間。
 大学にはいって東京人の同級生たちに接すると、なんとも世界観が違うものを感じたものだ。
 それは泉さんと私の聴いていた音楽の違いのようなもので、本書に並んだアルバムの数々(そのすべてを私は聴いたことがない)がその証明みたいにしてある。

 そもそも「針キズがあって、そこに差しかかると音が微かに飛ぶ。プツッと飛ぶ瞬間、ほろ苦い思い出が蘇る」なんていう感慨は、私にはなかった。
 私と音楽をつないでいたのは、一台のラジカセ。東京に出てきて初めて知ったFM局の、音源をたどって、録音のボタンをガタンと落とす。その指の感触に「ほろ苦い思い出が蘇る」のだ。
 私にとってLPアルバムなんて高嶺の花だった。

 泉さんとこれだけ生活感が違うのに、それでも本書の文章の端々に同じ時代の匂いを感じてしまうのはどうしてだろう。
 同じ時期に東京のどこかですれちがっていたかもしれない幻想。それが同時代感覚というものかもしれない。
 だから、泉麻人さんのエッセイがいつまでも好きなんだろうと納得して、本書を閉じた。
  
(2016/04/12 投稿)

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