プレゼント 書評こぼれ話

  今日はこどもの日
  立夏でもあります。

     竹筒に山の花挿す立夏かな    神尾 久美子

  今日から歳時記も夏の部に入れ替え。
  そして、ゴールデンウィークも
  今日が最終日。
  せっかくだからこの季節の花躑躅でも
  見に行くかと計画されている人も多いかも。
  東京の躑躅といえば
  根津神社が有名ですが
  今年は暖冬の影響もあって
  咲きほこりの時期は終わっているようです。
  残念。

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  季節が少しずつ早くなっていますね。
  せっかくだから
  美術館めぐりなどもいいかもしれません。
  出掛ける予定がない人に
  ぜひこの本を。
  原田マハさんの『暗幕のゲルニカ』。
  ピカソの名作「ゲルニカ」を
  題材にした小説です。

  じゃあ、読もう。

  


sai.wingpen  鮮やかなタペストリー                   

 「本作は史実に基づいたフィクション」と、最後に記されている。
 どこまでが史実でどこからがフィクションなのか美術史に疎いので判然としないが、それがこの作品の傷になるかといえばそんなことはない。
 圧倒的な面白さはそういうことさえ忘れさせる。
 まったく原田マハという作家は『楽園のカンヴァス』以降、美術にまつわる作品を描かせたら絶品である。

 タイトルにあるとおり、この長編小説はあのピカソが描いた名作「ゲルニカ」をめぐる物語だ。
 「ゲルニカ」については作品の中にこう記されている。
 「一九三七年、ナチス・ドイツがゲルニカに対して行った人類初の無差別空爆。その暴挙に憤怒の炎を燃え上がらせて、ピカソが描ききった巨大な一枚の絵」と。
 モノトーンで描かれたこの絵、悲鳴をあげる馬、倒れる兵士、幼児を抱えて泣く女、を実物ではなくとも目にした人は多いだろう。
 ピカソはどのようにして「ゲルニカ」を描き、戦争に突入していく欧州の戦火の中をどう生き延びていったのかを縦糸に、2001年9月11日に起こった米国での同時多発テロで愛する夫を失ったニューヨーク近代美術館のキュレーター瑤子が自身企画したピカソの展覧会に「ゲルニカ」を出展させようとする姿を横糸にして、物語のタペストリーは編まれていく。
 二つの糸をつなげる人物として描かれるパルドという裕福な青年とルースというこれも裕福な女性は作者の想像であるが、この二人が縦糸のピカソを、横糸の瑤子に密接に絡んでいく。
 同時に縦糸と横糸をつなげる重要な役どころである。

 史実としてピカソの「ゲルニカ」にまつわる物語を現代にどう蘇らせるか。
 戦争にノウを叩きつけた「ゲルニカ」の持っている意味合いを表現するにはどうすればよいか、瑤子の物語はフィクションであるが、それがあることにより「ゲルニカ」が暗幕から姿を現したといえる。
 エンタテインメントに分類されるであろう作品だが、読者を十分に満足させることはいうまでもない。
 拍手をおくりたい。
  
(2016/05/05 投稿)

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