プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介するのは
  窪美澄さんの『アカガミ』。
  書評の冒頭で
  こどもの日に発表された
  子供人口の話を書きましたが
  どんどん少なくなっていく
  次世代の人たちに
  私たちシニア世代は
  何を残してあがられるのか
  心配になってきます。
  高齢者の負担だけなく
  次世代の子どもたちに
  生きることの意味さえ
  残せるか不安になってくる数字です。
  そういう点でいえば
  この作品のテーマは
  あまりにも重いものがあります。
  きっと国とか政府に任せるだけでなく
  みんなで
  考えないといけない問題だと
  思います。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  この小説を誰も笑えない                   

 少子化がとまらない。
 先日発表された平成27年4月1日現在の子供の人口推計は35連続の低下となった。ちなみに子供というのは15歳までを指す。
 このまま減少が続けば、そんなに遠い時期でない将来、子供の数は1千万人を切るだろう。
 窪美澄のこの長編小説は2030年の近未来の日本が舞台だ。今から14年後の未来。
 その時代、10代から20代の自殺者数は10万人を突破し、40代以上の人間の割合が飛躍的に増え、「生きている実感を持っている」のは中年から上の世代だけということになっている。
 小説家の描いた絵空事といえないのが、子供人口の減少に垣間見える。

 窪はそんな時代にひとつの仮設をたてる。
 それは、結婚することも子供を産むこともなく、「恋愛」にも拒否反応を示す若者が急増するということだ。
 そんな中、国は少子化対策として「アカガミ」というシステムを生み出す。
 選ばれた若い男女が「アカガミ」により招集され、一組のペアが施設の中で共同生活をし、やがて交わり、子供を為すというシステム。
 選ばれた者たちは生活の保障を受け、それは身内の生活にまで及ぶ。

 ミツキとサツキは「アカガミ」によって招集され、共同生活を始める。
 恋愛経験も、ましては性交渉もない二人はやがて互いの心情に共鳴していく。ハグ、口づけ、そして性交渉。閉ざされた空間の中で、二人は次第に人間が本来持っていた子孫存続の過程を歩き始める。
 二人の感情は現代の読者は想像するしかない。けれど、それほどに難しいものではないだろう。すでに草食系男子といった風潮はその先端なのかもしれない。

 やがて、ミツキは妊娠する。
 生を得たペアは施設を出て、別のところへと移される。清潔な環境は生まれてくる子供のために与えられたものだ。
 しかし、そこで生まれた子供は国の管理下に置かれるようでもある。
 ミツキもサツキも自分たちがどうなっていくのか知るよしもない。
 そして、ミツキに出産の日が近づいてくる。

 ラストはここでは書かないが、こういう時代が来ないと誰もいえないだけ、恐ろしくもある作品に仕上がっている。
  
(2016/05/10 投稿)

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