プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  司馬遼太郎さんの直木賞受賞作
  『梟の城』を紹介するのですが
  え、今更と言われてしまえば
  本当にその通りで
  今回が私にとっての初読になります。
  ずっと本箱にあって
  NHK大河ドラマの「真田丸」の
  秀吉が面白いので
  確か司馬遼太郎さんの『梟の城』は
  秀吉暗殺計画の話だったことを
  思い出して
  ページをめくることになりました。
  秀吉役を演じている小日向文世さんのおかげかもしれませんね。
  そして、
  正直面白かったですね。
  この作品に出てくる秀吉も
  小日向文世さんに演じてもらいたいものです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  仕事に倦きぬ人                   

 第42回直木賞受賞作。(1960年)。
 言わずとしれた司馬遼太郎の直木賞受賞作である。司馬はこの時36歳。
 受賞の報を聞いて、浴室で頭を洗いながらとめどもなく涙を流したと、「受賞のことば」に記している。その上で「負荷の重さ」を生涯楽しく負いつづけたいと決意の程を記した。
 この時の選評を読むとほとんどの選考委員が絶賛している。
 中でも吉川英治は「このスケールの大きな作家は今後かならず衆望にこたえて新しい領野をみせてくるに違いない。」とその後の 司馬の作家活動を見事に予言し、海音寺潮五郎は「この人のものには、人を酔わせるものがしばしばある」と司馬文学の特長を言い当てている。
 面白いのは小島政二郎の選評で「大きなウソをつく才能」に目を見張ったとある。
 何しろこの長編小説は豊臣秀吉の命を狙う若い伊賀忍者の物語で、その後司馬が史実にそった歴史小説を描いていくが、これは時代小説の範疇にはいるべき作品だ。
 この作品を読めば、司馬遼太郎が大衆小説を心得た作家だということがわかる。

 それはおそらく司馬が歴史小説を書くようになっても変わらない技量であった。
 『燃えよ剣』にしろ『竜馬がゆく』にしろ『坂の上の雲』にしろ、司馬作品の第一の魅力は読んで面白いことだ。
 まさに海音寺のいう「人を酔わせるもの」を司馬は天性のものとして持っていたのであろう。
 この作品が面白いのは、伊賀忍者の掟の中に生きる主人公の重蔵がまるで組織に縛られるサラリーマンのように見えてしまうことだ。
 この小説の発表誌が仏教系の新聞であったことを思うと、司馬は読者としてサラリーマンを想定していなかったであろう。
 「男である以上、(中略)仕事には倦きぬ」という主人公のセリフは司馬自身が持っていた思いであったかもしれない。

 司馬の年譜を読むと、この作品の執筆時期はまだ産経新聞の記者であった。記者として働きながらこれだけの重厚な作品を書き続けることは容易ではなかっただろう。
 この時の司馬こそ「仕事には倦きぬ」人であっただろうし、それは生涯続いていくことになる。
  
(2016/05/26 投稿)

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