プレゼント 書評こぼれ話

  今週月曜に
  東京都知事の政治資金の使い方について
  当事者である都知事自身が依頼した
  第三者による厳格な、
  ここまでかなり皮肉のつもりで書いています、
  調査結果が発表されましたが
  二人の弁護士は
  元検事とか。
  今日紹介する
  葉室麟さんの『秋霜』に込められた意味を
  わかっているのかと
  問いたくなります。
  この作品の最後近く
  こんな文章が出てきます。

    秋霜のごとく、
    
ひとに苛烈にあたるからには、
    おのれにも厳しくあらねばならない。

  こう言った人物は
  この後、腹を切ります。
  さて、東京都知事の場合はどうでしょう。
  まあ、無理かな。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  己にも厳しくあれ                   

 「秋霜」といえば、「秋霜烈日」という四字熟語が思い出される。
 意味は、「刑罰・権威などが極めてきびしく、また厳かであること」である。この言葉をデザインして、検察官のバッジが出来ている。
 そして、この作品は葉室麟が第146回直木賞を受賞した『蜩ノ記』の舞台となった羽根藩を舞台とした4作めにあたり、さらにいうと3作めの『春雷』の続編となっている。
 続編であるから、作品の冒頭で前作の概要が説明されている。独立した作品として読むことは可能だが、やはり『春雷』とセットで読む方がいいだろう。

 この作品は『春雷』の主人公、鬼と怖れられた多聞隼人の死後の話である。よって、『春雷』に登場した人物がそのまま出て来る。例えば隼人の元妻楓であったり、隼人に想いを寄せたおりうであったり、隼人に命を助けられた玄鬼坊などである。
 また、隼人の仇役であった前藩主や家老の児島兵衛などもそのまま登場する。つまりは前作では何も解決していなかったということでもある。
 今回は新たに小平太という男が登場する。彼が今回の主人公といっていい。小平太もまた前作で隼人と敵対した白木立斎の実子というのであるから、この作品自体まるで前作の亡霊のようでもある。

 隼人が討ち死にしたことを知る関係者が多く生存するなか、幕府の巡見使が羽根藩に向かっているという知らせが届く。前藩主の愚行により藩の取り壊しもあるやもしれぬと家老の児島は焦る。その使いとして小平太が楓たちの身辺に入り込むのであるが、いつしか楓たちの心情にひかれていく。一方、楓たちの命を狙う前藩主もさまざまに画策していく。
 そして、ついに楓たちは国を出ることを決意する。
 では、この物語において、「秋霜」となるのは誰であるか。言葉の意味を知っていれば案外容易に解けるかもしれない。
 答えを知ってしまえば、前作の隼人とこの人物はむしろ一対の藩を思う武士であったとも思える。

 まさかこの物語の続編はこれ以上ないだろうが、羽根藩が『蜩ノ記』の舞台だっただけに大切にしてもらいたいものだ。
  
(2016/06/11 投稿)

  芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
Secret

TrackBackURL
→http://hontasu.blog49.fc2.com/tb.php/2855-e3274dc9