プレゼント 書評こぼれ話

  今年(2016年)は夏目漱石の没後100年です。
  没後ということで続けると
  漱石を敬愛していた司馬遼太郎さんが没後20年
  詩人の茨木のり子さんが没後10年、
  さらには遠藤周作さんもまた没後20年。
  まるで没後ブームのよう。
  それにこれって
  これからもずっと同じメンバーの没後が続くので
  来年になれば漱石は没後101年だし
  司馬遼太郎さんは没後21年だし
  なんて続く。
  今日は姜尚中さんの
  『漱石のことば』。
  できたら索引と作品一覧は
  欲しかったな。
  ぜひ、来年には没後101年の企画で
  パート2をお願いしたい。

  じゃあ、読もう。


sai.wingpen  亡びない、漱石の言葉                   

 夏目漱石没後100年ということで企画された新書だろうが、漱石のファンでその関連著作も多い姜尚中ならではの一冊といえる。
 漱石はもちろん国民的作家と呼ばれるにふさわしい膨大な読者を持っているが、漱石の文学は若い時代に教えるのはどうかと思っている。
 『坊っちゃん』や『吾輩は猫である』だけで漱石を読んだ気分にさせるのはよくないし、果たして『こころ』を読むのはいくつぐらいがふさわしいのだろうかと思わないでもない。
 ましてや『門』や『それから』ともなると、現代では50歳を過ぎてちょうどかもしれない。

 この本で姜が選んだ「漱石のことば」は148。
 私が気になったのは『倫敦塔』からのこんな言葉。「凡そ世の中に何が苦しいと云つて所在のない程の苦しみはない」。
 若い人にもこんな思いがあるでしょうが、現代では定年を過ぎたシニア世代にこそこの言葉が当てはまるように思う。
 会社を辞め、さて何をしようかと思っても何もない。そのうちに「所在のない苦しみ」に襲われてくる。

 面白いのは読者の年齢に合わせて、その言葉の捉え方も変わってくることだろう。あるいは、主人公の言葉ではなく彼を取り巻く人たちの言葉に感銘を受けたりする。
 だから、漱石は何度読んでも、いくつになっても面白いといわれるのだ。
 最後に私が一番好きな「漱石のことば」を書き留めておく。
 もちろん有名だからこの本の中にもある。
 『三四郎』から。
 広田先生がすました言ったこの言葉。「亡びるね」。
 いつ読んでも痺れる。
  
(2016/06/23 投稿)

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