プレゼント 書評こぼれ話

  永六輔さんの訃報
  各界から悲しむ声があがっています。
  特に黒柳徹子さんの
  「永いこといいお友達でいてくださってありがとう」という
  コメントは胸にぐっときました。
  永六輔さんのラジオ番組で
  こんな話を聴いたことがあります。
  お父さんを亡くされて
  悲嘆にくれる若い娘に
  永六輔さんはこんなことを言ったそうです。
  「よかったね、お父さんが先になくなって。
  もし、あなたが先ならお父さんはどんなに嘆かれたでしょう」
  永六輔さんは
  死の順番をとても大切にされていたんですね。
  今日紹介するのは
  第154回芥川賞受賞作
  滝口悠生さんの『死んでいない者』。
  この作品はお通夜が物語の舞台になっています。
  来週には新しい芥川賞直木賞が発表されます。
  それまでに読めて、
  ホッとしています。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  死者と生者                   

 第154回芥川賞受賞作(2016年)。
 同時受賞となった本谷有希子さんの『異類婚姻譚』を楽しく読んだが、本作はそれ以上の出来と思われた。
 通夜に集まった親戚や友人の言動を通して生きることの本質に迫っている。
 登場人物があまりに多くて、関係性がこんがらないでもない。また、これだけの親戚が集まれば出来のいい人や出来の悪い人が出てきて当然だが、少々類型化していなくもない。
 それでも、この作者の巧さに舌をまいた。

 選考委員の宮本輝委員は滝口氏を「相当したたか」と評している。奥泉光委員は「傑作と呼んでいい」と絶賛である。
 村上龍委員は「作品の視点・語り手の所在」の曖昧さに拘っている。選評では小津安二郎のカメラワークまで出しているが、この作品は小説だから成立したものだと思う。これを映像化するのはなかなか至難であろうが。もし映像化するならやはり孫の一人の知花が主人公になる視点になろうか。

 選考委員は指摘していないが、問題はラストではないかと思う。
 テレサ・テンのヒット曲が出て、一気にラストの場面になっていくが、このあたりは直木賞的になっている。
 よく書けている作品は面白いゆえだ。それを突き詰めれば直木賞との境界がますます曖昧になるだろう。
 この作品が直木賞受賞作といわれてもおかしくないものを持っていることは、この作品を落し込める理由にならないが、いい作品のさだめのようなものだ。

 選考委員の数人が友人「はっちゃん」の挿話を買っていたが、私もそう思う。
 その箇所の視点がとてもいい。
  
(2016/07/13 投稿)

  芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
Secret

TrackBackURL
→http://hontasu.blog49.fc2.com/tb.php/2885-3b492b1c