プレゼント 書評こぼれ話

  今日は岩波文庫から出て
  『自選 大岡信詩集』を紹介するのですが
  最近の岩波文庫の詩集は
  戦後の詩人たちを積極的に
  取り上げています。
  時には
  この大岡信さんもそうですが
  存命であっても
  文庫にしていくという
  そういう姿勢がいいですね。
  これからも断然注目の
  岩波文庫の詩集です。
  私としては
  早く吉野弘さんが
  岩波文庫に収録されないか
  楽しみにしているのですが。
  夏の緑陰の読書に
  詩集なんていいですよ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  詩人とは                   

 詩人大岡信(まこと)に注目したのは昭和54年(1979年)から朝日新聞で始まった「折々のうた」以降だ。そういう人は多いだろう。
 短詩に大岡による短いコメントが付記されたこの連載は好評を博し、2007年まで連載された。新聞連載のあとには1年分がまとめられて岩波新書で出版された。
 そういう啓蒙的な活動に注目が集まってが、大岡は詩人である。
 こうして岩波文庫で、自選となるぶ厚い詩集が出るくらいであるから。

 しかし、正直にいえば大岡の詩はほんのいくつかを除いてほとんど今回が初めてといっていい。
 最近岩波文庫になった詩人でいえば、谷川俊太郎や茨木のり子、あるいは石垣りんといった戦後の詩人に比べて聞き知った詩は断然少ない。
 彼らの詩が時に平易すぎるような言葉で紡がれている一方、大岡の詩は極めて真面目な印象を受ける。
 それは、この文庫の解説を書いた三浦雅士の文章から引用すれば、「まず批評家として登場」したことが原因しているのだろうか。
 批評家としての言葉と詩人としての言葉のありようが違うのかもしれない。
 教科書的な、という感じさえする。

 けれど、そんな大岡がいなければ、現代の日本語はもっと小さな世界になっていたかもしれない。
 自ら歌うことはなかったが「折々のうた」で大岡が為したことの意味は大きい。
 詩人はただ歌うのではなく、詩のこころを広めることも使命である。

 最後に書き留めておくと、大岡の詩では「はる なつ あき ふゆ」がいい。
   
(2016/07/15 投稿)

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