プレゼント 書評こぼれ話

  若い時に
  読みそびれた作品というのが
  いくつもあって
  それから40年以上経って
  ようやく読む機会を得たというのも
  おかしな話ですが。
  今日紹介する
  遠藤周作の『わたしが・棄てた・女』も
  その中の一冊。
  私にとってのこの作品は
  浦山桐郎監督の映画「私が棄てた女」(1969年)が
  知るきっかけ。
  最初は遠藤周作の原作とは
  知りませんでした。
  最近映画のシナリオを読みましたが
  原作とはあまりに違うので別物と考えた方がよさそう。
  昨日第155回芥川賞直木賞が発表されましたが
  読む機会を逸すると
  なかなか読めないもの。
  どうぞ、機会を逃さないで。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  わたしはあなたか                   

 今年(2016年)は遠藤周作没後20年にあたります。
 遠藤周作といえば、1955年に『白い人』で第33回芥川賞を受賞、『沈黙』や『海と毒薬』といった重いテーマを書く純文学系の作家の一方、狐狸庵先生として軽妙なエッセイでも人気を博しました。
 遠藤周作に接した人の話を聴くと、実際の遠藤周作もいたずら好きの面白い人物だったようです。
 遠藤周作の数多くの作品の中でこれが一番といえばやはり『沈黙』を推す読者は多いでしょうが、この作品もなかなか人気が根強いようです。

 この作品は昭和38年に雑誌「主婦の友」に連載された、遠藤氏の著作群でいえば、軽めの小説として読まれているようです。
 確かに冒頭の主人公である学生の吉岡たちが暮らす生活描写などはそういう風俗的な描かれ方をしていますが、けっしてそうとばかりはいえない。
 特に後半ヒロインのミツがハンセン病と誤診されたあと、その病院で献身的に生きる姿など遠藤氏ならではの宗教的な描き方もなされています。
 この小説には昭和30年代後半ならではの誤解であったり風俗が描かれていますから、現在読むとすれば大いに修正しなければならないですが、実はその根っこにあるのはミツという女を棄てた吉岡の心のうちを私たちが否定できるかということです。
 女を棄てた吉岡は誰の心にも潜んでいないか。
 それはキリストを裏切ったユダがいつの時代にもいるのと同じだと思います。

 遠藤周作はこれからも読まれ続けて欲しい作家だと思います
  
(2016/07/20 投稿)

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