プレゼント 書評こぼれ話

  「文藝春秋」9月号に載った
  第155回芥川賞の選評を読むと
  書評に書いたように
  高樹のぶ子委員の選評が
  ダントツに面白かった。
  高樹のぶ子委員を大いに悲しませた作品が
  今日紹介する
  崔実(チェ・シル)さんの『ジニのパズル』。
  この作品を推すのは
  高樹のぶ子委員だけではない。
  島田雅彦委員は「マイナー文学の傑作」と書き、
  奥泉光委員も支持している。
  今回村田沙耶香さんの『コンビニ人間』との
  同時受賞もあり得たかもしれない。
  私は
  宮本輝委員のこの作品評を支持する。
  つまりは作品の中での文体の変化の違和感。
  もっとも
  このような作品は若い読者に支持されていいようにも
  感じている。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  あなたならこの作品を芥川賞に推すか                   

 第155回芥川賞の選評が「文藝春秋」9月号に掲載されている。
 面白かったのは、それも近年まれにみるぐらい、高樹のぶ子委員の「胸を打つ、という一点」と題されたそれである。
 今回の芥川賞受賞作はご存知の通り、村田沙耶香さんの『コンビニ人間』だが、その作品に触れることなく、まして他の候補作など眼中になく、ただこの本、『ジニのパズル』がいかに素晴らしい作品かを論じた短評になっているのだ。
 これはなかなか珍しい。

 この作品は2016年に第59回群像新人文学賞を受賞した。
 作者崔実(チェ・シル)は1985年生まれということだが、この物語の主人公ジニはまだ中学生だ。時代は北朝鮮がテポドンを初めて発射した年1998年だから、ほぼ作者の年とダブってくる。
 小学校を普通の日本の学校で過ごし、中学から朝鮮学校に通い始めたジニ。
 ちょうど思春期にあたる頃、自分の出自と向かう合うことになったといっていい。子どもから大人に変わる苛立ちが、言葉の差や民族の違いと重なっていく。
 やがて、ジニの怒りの対象は学校の壁にかかる北朝鮮指導者の写真へと向いていく。
 小さなジニにとって、「革命」という言葉は大人の世界に燦然と輝くものだったのだろう。写真を棄てること、それがジニの「革命」となっていく。

 ジニの行為は幼いのか。
 あるいはこう言い換えてもいい。ジニの行為を描いたこの作品は未熟なのか。
 高樹委員は「この切実で圧倒的な魂の叫びを潰してはならない」とまで書いているが。
  
(2016/08/16 投稿)

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