プレゼント 書評こぼれ話

  今日は24節気の一つ、白露

     猫の髭水平に張る白露かな      滝沢 伊代次

  そろそろダイコンの種まきの時期。
  朝井まかてさんのデビュー間もない頃の
  『すかたん』という作品は
  青物問屋が舞台だけあって
  さまざまな野菜の描写もあって
  野菜好きの私はうれしかった。

    大根はえらいもんやな。
    芽ぇは貝割菜で味噌汁(おつけ)の実ぃやひたし物になるし、
    もうちょっと大きなったら
    間引き菜で浅漬けになる。
    ほんで種蒔きから数えて八十日で一人前の大根や。

  こういう描写だけで
  この本を読んだ値打ちがあるというもの。
  おもしろいでっせ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  作品はすかたんやおまへん                   

 朝井まかてさんは『恋歌(れんか)』で第150回直木賞を受賞した。
 初候補にしての受賞であった。
 この『恋歌』以前の作といえば、わずか5作しかない。しかも直木賞の受賞作と違い、時代小説として残している。
 第3回「大阪の本屋と問屋が選んだほんまに読んでほしい本」に選ばれた本作も時代小説である。『恋歌』とはかなり雰囲気が違う。
 こういう痛快で軽快な時代小説がいいと感じる人もいるだろうし、『恋歌』のような重厚な歴史小説が好みの人もいるだろう。
 講談社文庫の解説を書いた細谷正充氏は「歴史小説の魅力と時代小説の面白さ。両方をマスターした朝井まかて」と評価している。

 この作品は江戸の饅頭屋の娘ながら武士に嫁いだ知里は夫とともに大坂に出てくるが、夫が急死し、なじまぬ大坂に投げ出されてしまう。
 ようやく探しあてたのは河内屋という青物問屋。
 そこで大坂商人の世界に初めて触れる知里。そして彼女の前に現れる「すかたん」な若旦那清太郎。
 ちなみに「すかたん」とは、間の抜けたことをする人を馬鹿にしていう言葉だが、大阪弁特有の「あほ」に似て、毒性は弱い。

 この時期の朝井まかてさんの書く時代小説には職業小説的な要素もあって、この作品の中でも「暖簾の値打ちを決めてるんは世間やからな。世間にそっぽ向かれたら、あんなもの、ただの布きれや」みたいな、いいセリフも多くある。
 ただ最近の朝井さんの作品と比べると、まだまだ硬さが残っている感じがする。
 こういう題材で、今、描けば、また違った世界がでるのではないだろうか。
  
(2016/09/07 投稿)

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