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08/16/2009    タコの丸かじり:書評
プレゼント 書評こぼれ話

  今日の「丸かじり」は、
  シリーズ第一作『タコの丸かじり』です。
  これを記念して、(というほどでもありませんが)
  「カテゴリ」に「書評:「丸かじり」シリーズ」を設営しましたので、
  過去の記事を読みおとしたみなさんは、どうぞご利用下さい。
  今回の『タコの丸かじり』を読みますと、
  初期のものらしく、
  やや現在の「丸かじり」と相違している点がいくつか散見できます。
  三件ですが。
   ①挿絵が現在よりも一点多い。
   ②文章が現在よりも少し長い。
   ③それぞれのタイトリが現在よりも少し重々しい。
  なんだ、昔の方がよかったじゃないか、と
  お思いのあなた。
  1987年ですよ、この一冊目の連載時期は。
  その頃、コーヒーはいくらだったか、
  煙草はいくらだったか。
  それらと比べれば、どうってことありません。

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タコの丸かじり (文春文庫)タコの丸かじり (文春文庫)
(1994/08)
東海林 さだお

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sai.wingpen  はじめがかんじん                     矢印 bk1書評ページへ

 太初、タコありき。
 これ、「丸かじり」の常識であります。
  タコがなければ、つづくキャベツもなく、トンカツ、ワニもなく、どら焼きも生まれなかったのであります。
 だから、タコはえらいのであります。
 そう、これが「丸かじり」シリーズの記念すべき、はじまりなのであります。
 本書のなかで、創始者東海林さだお公(ええい、ひかえろう、ズがたかーい)は、後々の末裔たちにこうおっしゃっている。
 「丸かじりは痛快である。」(「天下一品丸かじりのすすめ」の書き出し)
 なんという、ありがたきお言葉。
 あたしゃ、耳の穴、お掃除いたします。

 そもそも「丸かじり」の魅力とは、はじまりのひとことにあるというのが、全国「丸かじり」統計協会の調査で解明されているわけで、これもひとえに創始者東海林さだお公(ええい、もっとひかえおろう)のお優しいお心遣いからであることも、全国「丸かじり」母親の会の意識調査で判明していることは周知の事実であります。

 たとえば、「スイカは楽しい。」(「スイカはがぶり食いに限る」の書き出し)
 簡にして単、明にして瞭。
 シオにしてタン、石川にして遼。
 おもわず、スイカ音頭を踊っちゃいました。
 たとえば、「串はエライ。」(焼き鳥の串の業績を讃える」の書き出し)
 一体この五文字にどんな秘密が隠されているのかと誰もが思いいたす。
 あたしゃ、おもわず、串でのど刺しちゃった。
 たとえば、「塩鮭は哀れである。」(「勇気をもって厚く切る塩鮭」の書き出し)
 この書き出しだけで、どれだけの婦女子が涙にくれたことか。
 なんとなく、さだまさしの「北の国から」をハミングしてしまいました。
 たとえば、「何から食べるか。それが問題だ。」(「にぎり寿司の賢い運営計画」の書き出し)
 ここから、かの有名なシェークスピアの『ハムレット』が生まれたのではないことが日本国民として残 念でしかたがない。

 かように、東海林さだお公(ええい、時にはズをあげて、こちらを見ろ)の文章の「はじまり」は深いのであります。
 なにごとも、はじまりはかんじん。
 これも、タコあっての、はじまりなのであります。
  
(2009/08/16 投稿)

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