プレゼント 書評こぼれ話

  作家佐藤泰志が亡くなったのは
  1990年10月10日のこと。
  41歳での自殺であった。
  何度も芥川賞の候補になりながら
  受賞に至らなかった佐藤泰志
  その死から20年以上経って
  芥川賞作家よりも注目を集める作家になろうとは
  夢にも思わなかったかもしれない。
  今日紹介する岡崎武志さんの
  『ここが私の東京』には
  佐藤泰志の小さな評伝も載っている。
  1970年に上京した佐藤泰志
  西武新宿線「新井薬師」を最寄りの駅にしていたという。
  もしかしたら、私はどこかで佐藤泰志とすれちがっていたかもしれない。
  今生きていたとして
  まだ67歳。
  生きていたら
  どんな風景が広がっていただろう。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  東京はなんて眩いのだろう                   

  本書の著者である書評家岡崎武志氏が東京に出てきたのは1990年。
 1957年生まれであるから、すでに30歳を過ぎていた。けっして早い「上京」ではない。
 そのあたりのことは本書の中の「これが私の東京物語」に詳しく記述されている。
 岡崎氏は「上京する理由の何分の一かは、永島慎二描く『フーテン』」に描かれた新宿のシーンだと告白しているが、岡崎氏より十年以上前に「上京」した私も、永島慎二の漫画の影響はあったように思う。
 地方の人間にとって、東京は実に時代的であり蠱惑であった。

 それは私や岡崎だけではない。
 本書の中で描かれる佐藤泰志や開高健、あるいは出久根達郎や庄野潤三、司修、友部正人にとっても同じであったかもしれない。
 いや、八王子で生まれた荒井由実(ユーミン)にとっても、東京の灯りはまばゆく輝いていたに違いない。
 きっと東京という都市の持つ、永遠の青春性というものだともいえる。

 ところで、佐藤泰志である。
 岡崎氏は自身も書いているように佐藤が現在のようにブームになる以前から佐藤の作品をしばしば発言してきた。もしかしたら、岡崎氏がいなければ今のような大きなブームになっていなかったかもしれない。
 その点では、本書に収められている「佐藤泰志 報われぬ東京」は佐藤泰志小論としても読めるし、青春と東京の残酷性すらうかがえるエッセイといえる。
 そういえば、永島慎二の一連の漫画に描かれた東京も、残酷であった。
  
(2016/10/06 投稿)

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