プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介する
  森健さんの『小倉昌男 祈りと経営』は
  第22回小学館ノンフィクション大賞
  受賞した力作です。
  森健さんは
  『つなみの子どもたち』という作品も書いている
  気鋭のノンフィクション作家です。
  それにしても
  ここで明らかにされていくことは
  残酷です。
  小倉昌男という名経営者だったがゆえに
  墓石を掘り起こすようなことまで
  背負いこまなければならないのかと
  考えさせられました。
  家庭の問題だからこそ
  もっとデリケートに扱われていいのでは
  ないでしょうか。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  家庭の不幸は諸悪の本                   

 「家庭の幸福は諸悪の本(もと)」と言ったのは太宰治だが、家庭にはそもそも幸福ばかりがあるのではない。
 どんな家庭であっても色々な問題がある。それが家庭という極めて個人的な単位がゆえに表面に出ないだけだ。
 「お金や仕事、怪我や介護といった表面的に明らかなものもあれば、感情的な仲違いや性格の不一致、そして外部にはわかりにくい精神障害の問題もある」。
 公的な立場があればその立場で毀誉褒貶もあろうが、いったん家庭の中に入ればそれは踏み込んではいけない世界となる。
 この本は一人の経営者の入り込んではならなかったはずの家庭の姿をえぐりとった衝撃の一冊である。

 小倉昌男。いうまでもなく宅急便の生みの親であり、ヤマト運輸の元社長である。近代の名経営者の一人でもある。
 亡くなったのは2005年6月。覚えている人もあろうが、小倉は日本国内でなくアメリカの地で亡くなっている。
 おぼろげな記憶であるが、私もなんだか変だなと感じたものだ。
 小倉昌男のような人であれば大々的に送られてもよさそうなものだ。
 ノンフィクション作家の森健もそこに小さな違和感を持った。そして、その理由を訪ねる旅に出る。
 本書はその報告書だ。

 結論からいえば、名経営者と称賛された小倉昌男にも人には言えない家庭の事情があった。もちろん、その事情を知っている人たちはいたが、そのことを広言することはなかった。
 家庭とは重い鎧を被っているようなもの。
 そのことを明らかにすることは、果たして私たちに許されているのだろうか。
 つらく、重い、ノンフィクションである。
  
(2016/10/08 投稿)

  芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
Secret

TrackBackURL
→http://hontasu.blog49.fc2.com/tb.php/2978-8bd18d4d