プレゼント 書評こぼれ話

  総合雑誌「文藝春秋」で
  佐藤優さんが「ベストセラーで読む日本の近現代史」という
  連載をしている。
  今月の10月号で取り上げているのが
  今日紹介する
  角田光代さんの直木賞受賞作
  『対岸の彼女』で
  佐藤優さんはこの作品を
  「友情の深層に迫るすがすがしい傑作」と記している。
  私からすると
  この本も読みそびれた本の一冊で
  やっと読めた気分です。
  そして、
  やっとでも読んでよかったと
  思っています。
  そんな一冊です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  角田さんの光                   

 第132回直木賞受賞作。(2004年)
 今や女性作家としての人気もその重厚な作品造りも抜きん出ている感のある角田光代がこの作品で直木賞を受賞した際、「角田さんの嗅覚」と題して選評を書いた林真理子選考委員は「少女の頃からどこかに属していないと、女たちは非常に生きにくいという現実を踏まえながらもこの小説には救いがある」と絶賛した。
 同様の評価もほかにもあって、積極的な評価ではなかったものの田辺聖子委員の「読者も生きる力を与えられ、読後感は爽やかだった」というのは、なるほど、確かに長い作品の最後の最後で前に進もうとする勇気を与えられた作品だと思う。

 物語は35歳で専業主婦の小夜子が育児や家事だけでなく生きる糧のようなものを求めて働き始めようとして出会う、同年の葵とのシンクロしていく感情を、小夜子を中心とした「現在」と高校生の葵を中心とした「過去」を、相互に描くことで、女性たちの心理に踏み込んでいく。
 男性の目からすれば十分に理解できていないかもしれないが、女性の側からすればこの小説はどれほど琴線に触れたことだろうと思える。

 小夜子は子供を育てながら、何故自分たちは年齢を重ねるのかと自問するが、最後一旦葵から離れながらもまた葵と向かい合うことを決めた小夜子は、その問いにこう答えを出す。
 「出会うことを選ぶためだ。選んだ場所に自分の足で歩いていくためだ」。
 まさに角田光代の光がここにはある。
 その光はこのあともすっと伸びて、今に続いている。
  
(2016/10/11 投稿)

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