10/22/2016 こぶしのなかの宇宙(いせ ひでこ):書評「「生きるために生まれた」ものたちへ」

いせひでこさんの絵を知って
随分の時が経ちました。
漢字で書くと
伊勢英子。
絵を知ってから
ノンフィクション作家の柳田邦男さんの奥さんだということも
知りました。
いせひでこさんは
若い頃右目の網膜剥離を患い、
今はほとんど見えないそうです。
それでもこんなにも
美しい世界を描き続けているのですから
頭がさがります。
今日はいせひでこさんの
『こぶしのなかの宇宙』という画集を
紹介します。
じゃあ、読もう。

この本はどんなジャンルになるのでしょうか。
やはり画集というのが一番合っているような気がします。
『ルリユールおじさん』や『まつり』など多くの絵本を上梓している画家で絵本作家のいせひでこさんのデッサンやタブロー、原画、そしてポエムのような詩片が少し収められている贅沢な一冊です。
多分贅沢なという感じは沢山のことが詰まっているだけではないと思います。
沢山ではないのだけれど、それを取り囲む場所であったり時間であったりがとてもゆったりしている状態も、ものすごく贅沢ではないでしょうか。
いせさんのこの画集はそんな贅沢に満ちています。
贅沢ということでいえば、この画集の中でいせさんがたくさん描きとめている赤ちゃんの姿を見ていると、赤ちゃんこそ贅沢な時間を生きているような気がします。
何故なら、彼らの未来のなんと無限なことでしょう。
いまだ歩くこともできない彼らですが、確かな命の強さをいせさんは見事に描いてくれています。
誰にでも等しくあるそんな贅沢な時間。
それを生かすのは、父や母ではなく、「小さきものたち」あなた自身なのだと、いせさんは言っているのではないでしょうか。
いせさんはそれを「生きるために生まれた」と言葉にしています。
いせさんの「えんぴつの先には小さないのちが見える」から、絵本として、つなげていく多くの人がいるのだと思います。
(2016/10/22 投稿)

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