プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  岡崎武志さんの『上京する文學』を
  紹介します。
  この本は先に紹介した
  『ここが私の東京』に先立つ
  上京文学小論です。
  この本の「あとがき」で
  紹介できなかった文学者の名前を
  岡崎武志さんは書いていますが
  そのなかの多くを
  『ここが私の東京』で
  描いています。
  2冊セットで読むといいですね。
  岡崎武志さんは
  私の読書アドバイザーの受講の際の
  講師の一人でもあったのですが
  お元気なんでしょうね、きっと。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  この本は「読書のすすめ」でもあります                   

 私たちの世代で東京人といえば、泉麻人さんとか坪内祐三さんとかを思い出すが、彼らの青春期の文章を読むと、やはり上品でおしゃれなで、「上京者」とは一味も二味も違うと感じる。
 その点、本書の著者である岡崎武志さんは純粋なる「上京者」として同じ「上京者」の私をどこか安心させてくれる。
 例えば、「上京者が東京になじむとは、とりあえず交通機関を苦もなく乗りこなせるようになること」なんていう感覚は東京人には理解されにくい。
 いうなればDNAのような感覚だ。

 本書はそんな「上京者」を描いた「文學」を紹介していく。
 斎藤茂吉、石川啄木、川端康成、林芙美子、太宰治、井上ひさし、寺山修司といったふうに目次に並んだ文学者の名前も見ると、この人も「上京者」かとうれしくなる。
 中で、夏目漱石の名前があるが、漱石自身は東京生まれであるから「上京者」ではない。ここでは漱石の書いた『三四郎』を読み解いている。

 最後には村上春樹が取り上げられている。村上春樹は神戸の出身だから「上京者」であるが、むしろ著者の岡崎さんがある時新宿の書店で村上春樹を見かけて、「東京にいれば、村上春樹にだって逢えるのだと、その時思った」と記す、その気持ちそのものが「上京者」のそれである。
 「上京者」にとって東京はファンタジーの世界そのものなのだ。

 岡崎さんは自分の書く本はいつも「読書のすすめ」になることを目ざしていると書いている。
 そういう志が「上京者」的である。
  
(2016/10/26 投稿)

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