プレゼント 書評こぼれ話

  歌人河野裕子さんが
  雑誌「歌壇」の企画で
  2000年2月から2001年1月まで
  毎日1首詠んだのが
  歌集「日付のある歌」です。
  11月4日にはこんな歌が。

    江戸柿は実も葉もおほきくゆつたりと時を急がず霜月に入る

  家族歌と思われがちな河野裕子さんですが
  こういう叙事詩的な歌もいいですね。
  今日は
  河野裕子さんが生前刊行した歌集から選歌された歌集
  『あなた 河野裕子歌集』を紹介します。
  秋の夜長、
  河野裕子さんの短歌の世界に
  親しむのもいいですよ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  あなたに触れたきに                   

 短歌にしろ俳句にしろ短詩型の文芸は創作志向が強い文芸だと思う。
 作歌している人は多いが、読むとなるとなかなか読者層は広がっていかないのではないか。
 短歌の世界でいえば俵万智の功績は大きいが、河野裕子も短歌好きだけでなく広く読まれている歌人であることは間違いない。
 河野裕子が64歳で亡くなった2010年(平成22年)の8月であった。
 それでも今でもこうして河野裕子の歌集が出るのであるから、その人気の程がわかる。
 しかもこの歌集は河野裕子が生涯に出版した15集からその集ごとに河野の家族、夫の永田和宏、長男の淳、長女の紅が選歌した1567首が収められているのだから、河野裕子の歌が好きな人には最適な一冊であろう。

 河野裕子ですらその歌集を手にすることはまれであるから、こういう形であれ、その片鱗だけでも読めることは幸せといえる。
 しかも、書影であったりそれぞれの集に収められた「あとがき」なども読める。
 こういう出版ができるのも、河野裕子の力であろう。

 その河野裕子が短歌創作をどのように考えていたかが、歌に残っている。
 最後の歌集となった『蝉声』に収められた、この一首。
 「冬枯れの日向道歩み思ふなり歌は文語で八割を締む」。
 人生の終りにしてなお作歌の心得を新人のようにして詠む、その初々しさに胸を打たれる。
 もちろんこれだけの歌が並んでいるから、読者一人ひとりが自分の好きな河野裕子を見つければいい。
 私はこの一首。癌の再発がわかった時読まれた歌。
 「何といふ顔してわれを見るものか私はここよ吊り橋ぢやない」。
  
(2016/11/04 投稿)

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