プレゼント 書評こぼれ話

  1年間で出版される点数は
  およそ8万点といわれますが
  そうすれと
  私の子どもの頃よりは
  確実に4百万点も作品は増えているわけで、
  今の人たちも
  そんな数から読むのであるから
  大変なことです。
  川端康成とか三島由紀夫といった
  かつての文豪の作品を読むのも
  これでは難しいに違いません。
  だからといって
  いきなり
  今日紹介する花房観音さんの
  『花びらめくり』を読むのではなく
  下地となった作品は
  読んでもらいたいものです。
  もっとも
  この作品を読んでから
  読むのもまたいいものですが。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  活字のエロスを楽しむ                   

 日本文学の名作にリスペクトを払いつつ、悩ましい官能の世界を描いた短編に仕上げた官能小説家花房観音の文庫オリジナル短編集。
 作品の下地となった名作は、芥川龍之介「藪の中」、川端康成「片腕」。谷崎潤一郎「卍」、夏目漱石「それから」、三島由紀夫「仮面の告白」の5作品である。
 川端や谷崎はもともと耽美的な嗜好があるから官能作品にしやすいが、漱石の「それから」ともなればどのような香料を振りかければそうなるのか、作品にあたってもらいたい。
 ヒントといえば、百合の香り。確かに漱石の作品でも百合の花はうまく使われていたはずだ。
 そういうところをうまくすくいとった花房観音はこの本の「あとがき」で少女時代の読書体験を綴りながら、「文学と呼ばれる小説は、私にとってはエロ本みたいなものであった」と告白している。

 そういえばと思い出してみれば、谷崎の「痴人の愛」とか三島の「潮騒」にもどきどきしながら読んだ記憶がない訳ではない。
 少年少女時代の読書には他人には聞かせられない秘めやかな罪の匂いのようなものがあるのも事実だ。
 花房観音のこれらの短編を読みながら、幼い頃の読書体験を思い出していたのも妙な話ではあるが。

 花房観音は「あとがき」の最後に「妄想を搔き立てる活字のエロの楽しみ」という言葉を記しているが、官能小説を単に「いやらしい」という一言で蔑視するのは活字の楽しみの幅を狭めているといえる。
 花房観音の作品は読めなければ、せめて谷崎潤一郎を読むのもいいのではないかしらん。
  
(2016/11/09 投稿)

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