fc2ブログ
本 先日(8.22)、「さいたまブッククラブ」の八月の例会に行ってきました。
 七月は会の夏休みでお休みでしたから、
 今月は久しぶりの集まりでした。
 今月も新しい人が、しかも若い青年とお嬢様と、お二人も増え、
 総勢九名の参加でした。
 しかも、日本経済新聞のK記者さんも「読書会」の取材でお見えになり、
 ますます楽しくなってきました。

本 ところで、いま、「読書会」って静かなブームなんですよね。
 たぶん、全国各地でいろいろな集まりがあって、
 参加されている人の多いと思います。
 K記者も、「どうして今、読書会が流行っているのか」という観点から
 取材に来られているのですが、
 会そのものは色々な運営方法があって、交流会のような感じのところもあるでしょうし、
 シニアのみなさんの余暇のようなものもあるかと思います。
 ビジネス書だけを話す会もあるでしょうし、
 一冊の本を互いに語り合う、そういう形もあると思います。
 たまたま「さいたまブッククラブ」というのは、メンバーの性別も年齢制限もなく、
 それぞれが「これは」という本を話すというスタイルだったということ。

本 では、どうして「読書会」に参加するのかということですが、
 何ヶ月か前にメンバーのMさん(女性)が初めて参加した時に言っていた言葉が
 印象に残っているのですが、
 「本の話ができる人が自分のまわりにいない」ということです。
 今回初参加のS青年もよく似ていて、
 彼は「本で語り合いたい」と言っていました。
 では、私はどうなのかといえば、
 私も同じですね。
 仕事の話やゴルフの話で会話が成立するのであれば、
 「本の話」でも、何人かが集まっても、それだけで話ができるんじゃないかという
 興味ですね。
 現代の「読書会」のブームが若い人を中心にして、
 「自分を高める」ためのものにシフトしているのであれば、
 それも方法として否定はできないですが、
 本というのはもっと幅広い世界だと思います。
 そういう世界を知ることが、「読書会」の魅力ではないでしょうか。

本 例えば、
地図 今回の例会では、
 Sさんが『ブッダ』(ディーバック・チョプラ著)
 を紹介されていましたが、
 そのあとで、宗教の話がでたり、
 チョプラという著者の話がでたりする。
 あるいは、Mさんが紹介した「昭和13年の地図帖」。
 国の話になったり、昔の表記にびっくりしたりする。
 ちなみに、それが横の写真。
 表記が右から書かれています。

 Sご夫妻の奥さんは、『三式簿記の研究』(井尻雄士著)を紹介された時には、
 さすがに驚きましたが、これだって話がはずむ。
 ご主人は『エリゼ宮の食卓』(西川恵著)という本で、
 名前も知らないワインがでてきたり、
 フランスの外交と日本の外交の話がでてくる。
 Oさんの『回想十年』(吉田茂著)では、やっぱり選挙に行かないとうなづいたり、
 主宰者のNさんの『まんがで読破 死に至る病』では、
 マンガで哲学が語れるかみたいな話になる。
 そのあとで、新人のO嬢が杉浦日向子さんの『百物語』と、
 これは本当に漫画で、
 それだって話が成立する。
 S青年(この人はあとで知ったのですが、
 私が行った大江健三郎さんの講演に、参加されていたとか)は、
 『紫苑の園/香澄』(松田けいこ著)の不思議な世界を話される。
 後で知ったのですが、
 この著者はあの『銭形平次』を書いた野村胡堂の娘さんで、
 知っていたら、銭形平次の世界にはまったかもしれない。
 残念。

本 このように、本の世界は、
 丸であっても三角であっても、赤であっても黒であっても
 いいので、
 そういう世界があることを「読書会」のような場で広がればいいのでは
 ないでしょうか。

 たまたまbk1書店の書評を読んでいて、
 和田浦海岸さんが『多読術』(松岡正剛著)の書評のなかで、
 石垣りんさんの「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」という詩を引用されていました。
 この詩の最後の一節がいい。

   それらなつかしい器物の前で
   お芋や、肉を料理するように
   深い思いをこめて
   政治や経済や文学も勉強しよう、

   それはおごりや栄達のためでなく
   全部が
   人間のために供せられるように
   全部が愛情の対象あって励むように。


本 つまり、本とはそういう世界であり、
 「読書会」は本をなかだちにして、その世界の広がりを知ることだと
 思います。

本 この日、私が紹介したのは、
 吉村昭さんの句集『炎天』。
 内容は、明日のブログに書きます。

 それにしても、今回Mさんが持参した「尋常小学地理書附図」というものの裏に
 書かれていた「茂木菊夫」という名前。
 昭和13年の「茂木菊夫」君が、その後、どんな人生をおくられたのか、
 気になって仕方がありません。

  ◆「ブログランキング」に参加しています。
  下の「バナー」をクリックすると、このブログの順位がわかりますよ。
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
Secret

TrackBackURL
→http://hontasu.blog49.fc2.com/tb.php/303-5481198f