プレゼント 書評こぼれ話

  今日は関川夏央さんの
  『人間晩年図巻1990~94年』を紹介します。
  このあとの本、
  『人間晩年図巻1995~99年』の方は
  すでに紹介しているので
  興味のある方は「検索」で探してみて下さい。
  今日の書評のタイトルを
  「私はまだ30代だった」としましたが
  この1994年までが30代で
  今から思えば
  充実の青年期後期を生きていたことになります。
  この本の中でもっとも気にかかった人物といえば
  1992年9月に亡くなった漫画家寺田ヒロオさん。
  寺田ヒロオさんといえば
  トキワ荘で多くの新人漫画家に温かな支援をした
  優しい人。
  その晩年は切ないです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  私はまだ30代だった                   

 1990年代ともなればすでに20年近く過ぎた時代である。
 その時代前半の1990年から94年に亡くなった著名人の晩年を描いてみせた関川夏央氏は、本書の「あとがき」で「過去を点検しながら、おそらく短くはないであろう自分の「晩年」にそなえる」という動機があったと記している。
 同時にこの時代の死者の晩年を描くことは「意外な角度から「現代史」を記述」することになるとしている。
 そういわれてみれば、本書で紹介されている政治家、文化人、俳優、スポーツ選手たちの名前を列記するだけで、時代の貌が見えてこないか。

 例えば1990年に鬼籍にはいった有名人は横綱栃錦、成田三樹夫、池波正太郎、幸田綾など、1991年は江青(この名前で中国の政治家とわかる人も少ないかも)、中島葵(この人は日活ロマンポルノの活躍した女優)、あるいは相田みつをもこの年に亡くなっている。
 1992年は尾崎豊、長谷川町子、中上健次、寺田ヒロオ、太地喜和子、1993年にはオードリー・ヘップバーンやハナ肇、田中角栄、この本の最後1994年には安井かずみ、吉行淳之介、乙羽信子といった人たちが亡くなっている。

 本書の見事な点はそれぞれの晩年を描くだけでなく、その人と関係した周辺の人の死も描かれていることだ。
 横綱栃錦であれば若乃花の名前が浮かぶが、先代横綱若乃花は力士としては長寿で82歳まで生きたといった風に、その人だけで終わらない。
 人はひとりでは生きられない。
 どのように死んだとて、その人と関わりのあった人とのつながりは残る。
 そんなつながりが時代となっていくのだろう。
  
(2016/12/06 投稿)

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