プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介する
  石井桃子さん訳の
  エレナー・エスティスの『百まいのドレス』は
  先日紹介した
  松村由利子さんの『少年少女のための文学全集があったころ』に
  書かれていた一冊です。
  松村由利子さんは
  1954年に刊行された版と
  2006年に刊行された改訳版を比較されていて
  タイトルだけでなく
  物語の少女たちの言葉を
  石井桃子さんは現代風に改めていることを
  いいあてています。
  私はまったく知らない本だったのですが
  いじめの問題について
  とても考えさせられる
  いい一冊だと思いました。
  こんな本がありながら
  いつまでもいじめがなくならないのは
  どうしてでしょうか。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  石井桃子からの贈り物                   

 児童文学者石井桃子さんは桃子と名付けられてだけあって、3月10日が誕生日です。
 1907年の生まれですから、生きておられたら110歳。しかし、石井さんは没後まだ10年にもなっていません。
 101歳まで生きられた女性です。
 しかも、いつまでもお元気でいらした。
 その成果のひとつが、この作品の改訳です。

 石井さんが最初にこの作品を訳されたのは1954年のことです。
 この時には『百まいのきもの』という題名でした。
 戦後まもない時期、まだドレスよりはきものの方が呼び方としてなじみがあったのでしょう。
 この時期の石井さんは「未来をになう若い人たちに、心の糧となるようなゆたかな文化を、ぜひとも伝えたい」と、さまざまな作品を求めていたといいます。
 そんな時に手にしたのが、この作品でした。

 この作品は現代風にいえば「いじめ」の問題を描いています。
 貧しい移民の娘ワンダに「ドレスを何枚持っているのか」とからかうクラスの同級生たち。そんな彼女たちに「百枚持っている」と答えるワンダ。
 そんなはずはないと、同級生のからかいは毎日続きます。
 ワンダの親はついにひっこしを決断します。
 転校していくワンダにからかったのはまちがいだったと悩む少女も出てきます。
 いじめにあっている人に何もしてあげられなくて悩む子どもたちもたくさんいます。

 こういう作品が1954年には読むことができたのも、石井桃子さんのような先人たちがたくさんいたからでしょう。
 でも、残念ながら、いじめはなくなりませんでした。どころか、もっと悪質になっていきました。
 石井さんはどんな気持ちで改訳の作業をされていたのでしょう。

 最後にこう記されています。
 「もうじき百歳の私から、若いみなさんに手渡すことができることを心からうれしく思っています」。
  
(2017/01/22 投稿)

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