02/04/2017 モネのあしあと(原田 マハ):書評「原田マハさんはポスト・マン」

今日は立春

立春の庭に捨てられ鬼の面 原 コウ子
まさに「暦の上では春ですが…」といわれる
立春ですが
やっぱり春になるのはうれしい。
そんな気分で
今日はこの一冊を紹介します。
原田マハさんの『モネのあしあと』。
モネというのは
印象派の画家クロード・モネのこと。
春の気配が感じられたら
モネの画集でも開いてみるのも
いいかも。
立春やモネの画集に紅茶そえ 夏の雨
じゃあ、読もう。

最近の原田マハさんの活躍は目を見張るものがあります。
旧作もブレークしているようだし、新作も次から次へと出版されています。
『楽園のカンヴァス』以降、自身のアートについてのキャリアを生かしてアート小説という分野を確立した気配さえあります。
この新書は小説ではありませんが、原田マハさんが愛してやまないクロード・モネ(1840~1926)の生涯と作品、そして原田さんが書いた小説『ジヴェルニーの食卓』に込めた思いなどがまとめられています。
原田さんが日本で開催されたモネ展で行った講演がもとになっていますから、とても読みやすい内容です。
しかも、モネだけでなく印象派の作品ができるまでの美術界の動きといった美術の概要はつかめます。
何しろモネは印象派が生まれるきっかけとなった「印象―日の出」の作者でもあります。
面白いのは日本人が印象派の作品をとても好きなことです。
そのことの理由を原田さんは「印象派の作品の中には、日本美術が生かされているので、私たちが見ても親しみを感じ、また安心感を覚える」と分析しています。
つまり、「心で感じる」絵画だと。
もちろん印象派だけが美術ではありません。
「美術作品とは、時間と記憶がすべてパッケージされた、アーティストからのメッセージ・ボックス、いわば過去からの手紙のようなもの」と原田さんは書いています。
だとすれば原田マハさんはそんな手紙を私たちに届けてくれるポスト・マンなのです。
(2017/02/04 投稿)

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