プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介する
  『墨龍賦』は直木賞作家葉室麟さんの
  50作めとなる
  記念の作品です。
  私が葉室麟さんの作品を読み始めたのは
  2012年に『蜩ノ記』で直木賞を受賞してから。
  そのあとはかなりまめに
  葉室麟さんの作品を読んでいます。
  おそらく
  時代小説歴史小説では
  司馬遼太郎さんに次いでぐらい。
  藤沢周平さんよりは
  多くなったのでは。
  おそらく葉室麟さんの作品と
  心の波長が合うのでしょうね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  葉室麟の50作めの記念作品                   

 葉室麟の年譜を見ると、50歳から創作活動を始めた遅咲きの作家ということになる。
 デビューしたのが2005年、以来直木賞をはじめ様々な文学賞も受賞し、今では時代小説の人気作家を不動のものにしつつある。
 その葉室にして50冊めの記念の作品が本作である。
 出版社の宣伝文によれば、「デビュー前から、海北友松という男を書きたかった」のだという。
 まさに渾身の一作といえる。

 海北友松といっても知らない人も多いかもしれない。
 私も知らなかった。
 この本の表紙装画に使われているのが海北の描いた「雲龍図」だ。建仁寺にある
 なんともおぞましく力強い龍であることか。幼い子であれば泣いてしまうかもしれない。
 このような龍を描いた絵師海北友松の、戦国時代という時代に翻弄される人たちの姿を描いたこの作品では、本能寺の変がどのようにして起こったかという解くことが叶わぬ謎も、葉室麟ならではの解釈を展開していく。

 重厚な時代背景、複雑な人間造形、さすが葉室と喝采をおくりたいが、やや不満がない訳でもない。
 その一つが女人の描き方。
 これまでの葉室作品では主人公の忍に寄り添う女人が重要な役どころを担ってきたが、この作品ではその点が希薄だ。
 海北が出家しているためということもあるだろうが、一瞬交わりかけた女人との関係もなくはない。
 そのあたりが深まれば、作品としての厚みが増したのではないだろうか。

 いずれにしても葉室麟の50冊めの作品を祝いたい。
  
(2017/02/28 投稿)

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