
昨日村上春樹さんの
『村上春樹翻訳(ほとんど)全仕事』という本を
紹介したので
せっかくだから
久しぶりに
村上春樹さんが翻訳された作品を読もう、
できたら
今まで読んだことがない作品がいいかと
選んだのが、この一冊。
グレイス・ペイリーさんの『最後の瞬間のすごく大きな変化』。
タイトルは村上春樹さんぽい。
ちなみに原題は
Enormous Changes at the Last Minute で
どうですか、
これを『最後の瞬間のすごく大きな変化』と
あなたなら訳しますか。
このあたりが
翻訳家村上春樹さんの魅力なんでしょうね。
じゃあ、読もう。

おそらく村上春樹氏が翻訳していなければ、1922年にニューヨークで生まれ、たった3冊の短編集でアメリカ文学のカリスマとも呼ばれるこの女性作家の作品を読むことはなかっただろう。
そして、これが短編集でなければきっと読了することはなかったかもしれない。
それは訳者である村上春樹氏もこの短編集のあとがきにも書いているように「彼女の小説は、かなり多くの部分が、癖のある、場合によってはいささか「難解な」文体によって」出来上がっていて、ましてや作品の舞台がどうしても日本の町の風景とは手触りも違うので、読書の愉しみとはほど遠い。
同じ訳者あとがきで村上氏は彼女の作品には「いったんはまりこむと、もうこれなしにはいられなくなるという、不思議な中毒性」があると書いている。
不思議な中毒性。
まさにそれは村上氏の作品そのものにもいえることだ。
村上氏の作品は最近ひどく難解で、読書の愉楽といえるかどうかわからないところがある。
それでも読者を離さないのはまさに「不思議な中毒性」を持っているからで、そういう点では不思議な中毒性を持った2人の作家の共同事業として、日本語版ができあがっているといえる。
この短編集には17篇の作品が収められているが、そのうちのいくつかはペイリー自身がモデルといわれる「フェイスもの」(主人公の名前がフェイス)だ。
日本の風景でいえば下町の人情話に近い。それでも日本の読者である私たちには彼女を含め少し理解し難いが、きっと他人なんてそういう距離でいるは確かだ。
それは日本であれアメリカであれ同じだろう。
(2017/05/27 投稿)

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