05/30/2017 騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編(村上 春樹):書評「蓋は開けられた」

もしかしたら、
先週からの流れで
そろそろ村上春樹さんの最新作品
『騎士団長殺し』が紹介されるのではと
思った人もいるかもしれません。
ご名答!
今日と明日
村上春樹さんの『騎士団長殺し』を
紹介します。
今日はまず前編ともいえる
『騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編』から。
当然長編小説の書評ですから
明日の分と合わせて読んでもらえると
いいのですが。
この書評も
第2部を読んで
つまりは全部読み終わってから
書きました。
じゃあ、読もう。

村上春樹のこの長編小説は総ページ数にして1000ページを超えているが、ありがたいことに第1部と第2部に、ほぼ500ページずつに分かれている。
ただこの第1部と第2部は何か独立しているかといえば決してそうではない。
やはりこの長編小説は1000ページを超える作品として、全体を評価すべきものだと思う。
それでもやはりありがたいことに、第1部第2部それぞれにサブタイトルがついていて、そのあたりをヒントに(この難解な小説にはたくさんのヒントがいる)読むのも悪くない。
まずこの第1部にはこんなサブタイトルがついている。
「顕れるイデア編」。
そうなると、イデアとは何だと考えたくなる。その答えは第2部に出てくる。
「イデアは観念であり、観念は姿かたちを持たない。ただの抽象的なものだ」。
それが、第1部では顕れるのだ。
長い作品の主人公は肖像画を描くことを生業にしている画家。
ある日、妻から離婚を宣言され、傷つき、自ら家を出てしまう。彼がたどり着いたのは学生時代からの親友の父親の住居。
この父親は日本画家として名を馳せた人物だが、今は高齢で混濁した意識で施設に入っている。
主人公はその住居で「騎士団長殺し」と名付けられた一枚の絵を見つける。
まるで、その絵に誘われるようにして起こるさまざまなこと。
第1部の終り近くにこうある。
「うまく説明のつかない様々なものたちが、この家の中で私をじわじわと捉えようとしていた」。
それは読者も同じ。
主人公に近づく免色(めんしき)という不思議な人物。
そして、その男のもしかしたら娘かもしれない少女の登場で、物語は間違いなく、動き出す。
もう蓋は開けられたのだ。
(2017/05/30 投稿)

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