プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  平田オリザさんの
  『下り坂をそろそろと下る』という
  この国全般の問題点の解決方法を説いた
  極めて示唆に富んだ
  一冊を紹介します。
  この本の最後に
  平田オリザさんは現在の日本を
  こう見ています。

   1. もはや日本は、工業立国ではない。
   2. もはや日本は、成長社会ではない。
   3. もはやこの国は、アジア唯一の先進国ではない。

  もちろん、これに異論を唱える人も
  大勢いると思います。
  まだ坂を上っていきたいという人。
  でも、私は平田オリザさんの説に
  賛成といいたい。
  ただし、下りる時には
  転んでしまいたくはありません。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  坂をともに下ろう                   

 司馬遼太郎が産経新聞夕刊に「坂の上の雲」を連載したのは1968年4月から1972年8月にかけてのことである。
 その当時この国は高度成長期そのもので1973年秋の石油ショックまでの謳歌に酔っていた頃である。
 それでもこの国の人々は司馬が描いた明治という時代の勇躍とした若者たちの姿に感動し、自分たちもまた坂をのぼっていく気分であった。
 それから半世紀近く経って、坂はすでにのぼりきったはずなのに、まだまだ高見があると思っているのが今の姿かもしれない。
 劇作家平田オリザ氏はこの本で下り坂のおり方を模索する。
 つまり、「日本は、自分勝手に坂を転げ落ちることさえ許されない立場」にあるということだし、おり方を急げば自身怪我をしかねない。

 平田氏は地方のありかたとして「大卒者の雇用の場をできるだけ確保するとともに、一度出て行った県内出身者にも、いずれ帰ってきてもらえる環境を整える」ことが必要だという。
 この「いずれ帰ってきてもらえる環境」には「自己肯定感」が欠かせない。そのためには「文化政策とハイセンスなイメージ作り」をすべきと説く。
 若者たちが東京を目指すのは単にそこに雇用があるだけではない。生まれた場所では味わえない文化密度が濃いのだろう。

 この本で「文化資本」という言葉を初めて知った。
 地方の再生に欠かせないのが単に経済資本という考え方だけでなく文化資本をどう確立しそれをどう生かしていくかということだろう。
 坂を下るとき、時に私たちは誰かも支えが必要になる。
 この本はそんな一冊である。
  
(2017/06/03 投稿)

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