プレゼント 書評こぼれ話

  好きな作家は
  本の内容に関係なく
  作家の名前だけで読んでしまうことがあります。
  葉室麟さんは
  そんな作家の一人。
  今日紹介する『潮騒はるか』も
  葉室麟さんの新作ということで
  読み始めたのですが
  あれ、この登場人物、
  どこかで出会ったなと
  すぐに気がつきました。
  『風かおる』という作品の
  続編というか
  登場人物が同じ、
  別の物語になっています。
  葉室麟さんにとって
  この菜摘らの登場人物はお気に入りなのかも
  しれません。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  『風かおる』の続編ですが                   

 この作品は『風かおる』(2015年)の続編にあたる。
 前作で「風がかおるように生きる」ことを決意した鍼灸医の菜摘とその弟誠之助、それと菜摘を慕う千沙は前作の筑前博多から今回は菜摘の夫佐久良亮が勉学に勤しむ長崎に舞台を移して、物語は展開する。
 冒頭、菜摘たちはシーボルトの娘いねと出会う。
 あるいは、亮が習っているのが蘭学のポンペ先生であったり、その弟子松本良順が登場したりと、史実と虚構が交じり合っていく。

 そんな菜摘たちのところに、千沙の姉佐奈が夫殺しの嫌疑をかけられ、長崎に逃げ込んだというとんでもない話が舞い込む。
 今回の物語は佐奈の秘められて思いが子どもの頃におぼれかけた自分を助けてくれた男への淡い思いだったとほぐれていくさまを描いていくのだが、物語の出来自体は前作に及ばない。

 ある時代のある場所を舞台にして物語を描いた場合、どうしても歴史上の人物を描かなければならない時がある。
 この作品であれば、幕末という動乱期で、しかも長崎という過熱気味の場所で、どうしても歴史上の人物を登場させずにはおられない舞台設定となってしまう。
 彼らが生きた空気に虚構を混ぜるとすれば、いくら彼らが歴史上の人物であったとしても、空疎な虚構の人物となってしまう。
 この作品ではそういったぎくしゃく感が常につきまとってしまう。
 史実の人たちは彼らが生きた時代にあって、生き生きとしているはずだ。

 さすがの葉室麟であっても、この料理はいただけない。
  
(2017/07/06 投稿)

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