プレゼント 書評こぼれ話

  前作『火花』は
  難しいという人がたくさんいましたが、
  芥川賞受賞初の作品となった
  この『劇場』はどうでしょう。
  『火花』よりはうんと読みやすいのでは
  ないでしょうか。
  又吉直樹さんも大変ですよね。
  色んな人に
  色んなことをいわれて。
  でも、芥川賞受賞後の又吉直樹さんを見ていると
  それはそれで清々しい
  好青年の印象を持ちました。
  芥川賞を同時受賞した
  羽田圭介さんのマスコミ露出に比べたら
  又吉直樹さんの方が
  控え目でしたものね。
  これで次の作品も
  楽しみになりました。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  私は満足しましたよ                   

 『火花』で第153回芥川賞を受賞した又吉直樹であるが、その後なかなか作品を発表することがなかった。
 そして、ようやくこの春に発表したのが、原稿用紙300枚の長編小説となるこの作品。
 作品が出ないから、色々な憶測を言われただろうが、こうして発表されると『火花』以上の出来に、多くの読書人はほっとしたのではないだろうか。
 もちろん、又吉直樹が一番ほっとしただろうが。

 この作品は恋愛小説といっていい。
 演劇の道を志す永田という男と彼を支える沙希という女性との出会いと別れが描かれているのだが、どうにも古めかしい恋愛模様である。
 現代の若者もまだこういう、70年代流行った「神田川」の四畳半フォークのような、恋愛をしているのだろうか。
 読む側とすれば、その年齢層によって受け止め方は随分違うのではないか。
 例えば「彼女の純粋で無垢な性格が憎いのかもしれなかった。その優しさに触れると、自分の醜さが強調され、いつも以上に劣等感が刺激され苦しみが増す」なんて、まるで又吉直樹の好きな太宰治の自画像ではないか。

 それとこれも気になったのだが、この男女のセックス描写が描かれていない。
 同棲までしている男女だから性の交わりがないはずがないが、又吉が巌とその描写をしない。
 セックスを過大に描く必要なないにしても、永田と沙希の関係であれば、それを表現することで恋愛の深みや傷がもっと出たはずだが、又吉はあえてその道を選ばなかった。

 もしかしたら、又吉直樹という書き手は古風すぎる作家かもしれない。
  
(2017/07/12 投稿)

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