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プレゼント 書評こぼれ話

  今JIPC読書アドバイザーの受講を終えた人や
  埼玉に住んでいる本好きな人たちと
  毎月読書会をしています。
  だいたい毎月10人ほどが集まって
  自分の好きな本を紹介し合っています。
  そういう会に参加すると
  世の中には自分の知らないたくさんの本が
  あることに気づかされます。
  今日紹介する
  ロバート・ニュートン・ベックの『豚の死なない日』は
  先月の読書会で一人のメンバーが紹介していた本で
  話を聞いて読みたいと思いました。
  新しい本ではなく
  日本で最初に紹介されたのが
  1996年です。
  その後、白水uブックスの一冊に
  ラインナップされました。
  とっても感動しました。
  いつかしら私たちがなくしてしまったものが
  この作品にはあります。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  貧しさは不幸と同じではない、とこの小説は教える                   

 格差社会といわれる。しかし、昔から富める者もいれば食事にも事欠く人たちもいた。それなのに、どうして今の格差の問題は悲惨さが付きまとうのだろう。
 豚を殺す営みと少しばかりの畑を耕して生きている、この物語の家族を見ていてわかったことが一つある。彼らは貧しかったけれど、決して自分たちを卑下していなかったということだ。

 1972年にアメリカで発表されたこの物語はロバート・ニュートン・ペックの処女作だという。彼は44歳の時にこの作品を書き、たちまち時代の寵児となった。
 この作品はヴァーモンド州の田舎で育った彼の自伝的要素が高い。つまり、時代は世界恐慌の波に襲われていて、主人公のロバートはまだ12歳にもかかわらず、家の手伝いを余儀なくされている。

 豚を殺す生業の父の身体には豚の匂いが染み込み、父はそのことを母にあやまったことさえあるという。
 その時、母は父に「誠実な仕事の匂い」ときっぱり言ったという。
 そんな両親に育てられたロバートだからこそ、貧しさの意味も働く意義もよく理解する少年に育った。

 この物語で父は息子に生きることの大きな意味を何度も教えている。
 そういう父が昔はいたし、そういうことを描く物語も多くあったように思う。
 ある日少年が飼っていた子豚を食べるものが尽きて処分することになる。
 父は少年に教える。「これが大人になるということだ。これが、やらなければならないことをやるということだ」と。
 そうやって少年は何度も苦しみや悲しみと向き合って、成長していく。

 そして、最後にはその父をも亡くしてしまう少年。
 その時、少年は気づくことになる。「父さんは金持ちではなかった。しかし決して貧しくはなかったのだ。(中略)父さんは豊かな人生を送った」のだと。
 こういう物語もまた少なくなっているのも残念だ。
  
(2017/10/06 投稿)

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