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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  私の好きな作家の一人
  桜木紫乃さんの新刊
  『砂上』を紹介します。
  書評にも書きましたが
  この作品自体はそれほどいいとは
  感じませんでした。
  巧さばかりが先立つ感じです。

    すべての女に無数の物語があるのなら、
    自分がいま書いているものは、
    砂丘の砂のひと粒だ。


  作品の中の一節ですが
  これだけ読んでも
  桜木紫乃さんの
  巧さがわかるかと思います。
  口当たりがいい
  アイスクリームでは
  満腹しないということでしょうか。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  巧すぎるのも時には考えものだ                   

 巧い書き手というのは、ほとんど動かない物語であっても、短めの長編小説ぐらいには仕上げるものだ。
 直木賞作家桜木紫乃の、デビュー以前の女性作家の作品執筆にかける思いを描いたこの作品がまさにそうだ。
 主人公柊令央(ひいらぎれお)が雪の降り始めた北海道の町の喫茶店で東京の出版社の女性編集者と対面するところから物語は始まる。
 令央は四十になる女性で、今は離婚した前夫から幾ばくかの慰謝料と幼馴染が経営する料理店の臨時雇いの給料で生活している。
 彼女は以前から小説を書いては新人賞に応募をし続けていたが陽の目を見ることはなかったが、東京から訪ねてきた編集者小川乙三はその落選した作品ににわかに注目し、改稿することを求めてくる。

 その物語が「砂上」というタイトルだ。
 そこには令央自身の半生が投影されている。つまり、自身が身ごもり生んだ娘が妹として育てられた事実、令央の母がまだ十代だった令央の代わりに母となった事実、それらが虚実ないまぜになった物語。
 おそらく、令央が書きつつある物語の方が動いていたはずだが、この作品はそれを描くのではなく、それを書きつつある令央の心情をくどくどを書きつらねていく。

 令央の母の若かりし頃のことが描かれる場面が出てくるが、その時に俄然輝いているのは、おそらく物語が動いているからだろう。
 桜木はあまりにも巧すぎて、動かない時間も言葉を重ねることができてしまう。
 この作品ではそれが裏目になってしまったような気がする。
  
(2017/10/31 投稿)

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